出版社内容情報
時代と世代を超えて愛される名探偵ホームズ。物語を生んだ時代背景から、著者ドイルの葛藤、登場人物の誕生秘話、人気を陰で支えた人々、シャーロッキアンの生態、翻訳移入史に至るまで、ホームズ研究の第一人者が、永遠の名探偵の魅力と謎に迫る画期的ガイド
内容説明
今から130年以上前の19世紀末の英国で無聊をかこった一人の開業医が生み出したシャーロック・ホームズ。21世紀の今も、その人気はとどまるところを知らず、活字、映像、コミック、舞台、インターネットなど様々な分野に浸透している。なぜホームズ物語はこれほどの長きにわたって世界中で愛されてきたのだろうか?物語を生んだヴィクトリア朝の時代背景から、著者コナン・ドイルの葛藤、探偵小説史における位置づけ、登場人物の誕生秘話、人気を陰で支えた人々の横顔、シャーロッキアンの生態、日本への翻訳移入史に至るまで、永遠の名探偵の人気と長寿の秘密を様々な角度から考察する画期的ガイドブック。
目次
序章 ホームズ物語の全体像とアプローチのしかた
第1部 ホームズ物語誕生の時代背景:ヴィクトリアーナ的基礎知識
第2部 コナン・ドイルの人生とホームズ物語:ドイリアーナ的基礎知識
第3部 ホームズ物語の詳細:シャーロッキアーナ的基礎知識
第4部 アダプテーションとファン活動:シャーロッキアンの世界の詳細
第5部 日本への移入史と翻訳の話題
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
120
ジョン・レノンは「僕たちはキリストより人気がある」と公言したが、コナン・ドイルの筆が生んだ名探偵は国家と宗教と民族を超えてイエスより好まれていよう。実際、ホームズ物語は聖書の次によく売れる本とされるが、様々な解釈や研究や信奉者を生んできた点も聖書に優るとも劣らない。そうして生まれた映像化やパスティーシュ、あまり知られていないファンダムの生態に日本での翻訳史まで網羅し、世界にどれだけ影響を与えたのかを一望できる。子孫の動向からファン団体のユニーク会則など、他の本にはないエピソードも満載で楽しくなってしまう。2022/11/20
遥かなる想い
94
永遠の名探偵をめぐる170年の物語である。 19世紀末の英国で生まれたホームズは なぜ今でも 世界中の人々に愛されているのか?誕生の秘密から愛される理由まで、 丹念に描く。知らなかったことも多く、新鮮で楽しい作品だった。2023/07/29
Die-Go
49
図書館本。シャーロック・ホームズにまつわる様々な事件を読み解くだけではなく、そのパーソナリティー、歴史、時代背景を細大漏らさず(省略しているところはありつつも)述べている。★★★★☆2023/01/16
だるま
18
ホームズのガイドブックは実に沢山出ていて、私は数冊読んだだけなので断定は出来ないけど、本誌は最強に近いガイドブックじゃないだろうかと思う。ホームズの作品の解説は僅かだが、コナン・ドイルの半生や、作品が出た時分の時代背景、シャーロッキアンの実態、ホームズ作品のパスティーシュの紹介(これ特に詳しい。いしいひさいちの漫画まで網羅)、等々、正に『バイブル』に相応しい内容だった。ドイルがホームズを書き続けるのが嫌になり、ホームズを殺してしまったが、読者の反発で生き返らせた有名なエピソードにも、新事実があって驚いた。2022/11/14
Urmnaf
11
ホームズの物語がなぜ、これほど愛されるのか?その要因を探るガイドブック。なので、作品そのものの解説ではなく(「正典」は当然読んだことが前提で)、ヴィクトリア期のロンドンであったり、当時の類似作品の状況、ドイルの人生と人となり、二次作品とパロディ/パスティーシュなどなど、作品の周辺をつぶさに解説。さらっと読み飛ばしていたところの背景を知って、もう何度読んだかわからないホームズ譚をまた読み返したくなること必至。ホームズファンは必携の書。2022/11/21