出版社内容情報
携帯やパソコンの影響で情報革命が起き始めた1996年。父親と同じ新聞の世界に飛び込んだ新潟支局の新米記者・高樹和希のもとに謎の男から不正献金疑惑のタレコミが。背後には、かつて和希の父・治郎に煮え湯を飲まされた政治家の田岡とその息子・稔の影が。
内容説明
バブル崩壊、未曾有の震災とテロを経て、時代が激しく揺れ動いた一九九六年十二月。父親と同じ新聞の世界に飛び込んだ新潟支局の新米記者・高樹和希のもとに、謎の男から不正選挙資金疑惑の密告が。初めてのスクープの予感に和希は沸き立ち、和希の父で今は社会部長の治郎も部下を動かして共に取材を進める。だが、その背後には、二十五年前に贈収賄事件で治郎と敵対し、以来マスコミの支配を目論む政治家・田岡総司とその秘書で息子の稔の影が…大河政治マスコミ小説三部作第二弾登場!
著者等紹介
堂場瞬一[ドウバシュンイチ]
1963年生まれ。茨城県出身。青山学院大学国際政治経済学部卒業。新聞社勤務のかたわら小説を執筆し、2000年秋『8年』にて第13回小説すばる新人賞を受賞し、2001年に同作でデビュー。2013年より専業作家に。映像化作品多数。また熱心な海外ミステリのファンとしても知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
544
もともとは大学(W大あたりか?)の同級生だった田岡と高樹。第二部の今作は、四半世紀を経て彼らの息子の世代へ。世代ごとに名前や設定がごっちゃになったり(読み手のキャパのせい)、田岡と友岡がごっちゃになったりとなかなかに悪戦苦闘したが、終わってみればその波のうねりのような内容に感嘆。「泥流」も読後に改めて眺めれば、名サブタイトル。シナリオが少々上手く回りすぎな感はあれど、つくづく政治家って怖い。さぁこの二家族の対決、最終的に笑うのはどちらなのか。楽しみで仕方がない。2024/03/31
旅するランナー
265
第一部から四半世紀、1996年に繰り広げられる、政治家対新聞記者による因縁の対決。第二ラウンドは、政治家田岡総司が巧妙な罠を仕掛ける。深い怨念私怨宿怨にぞっとする。特に、田岡が党幹事長に迫り追い詰める場面は、彼の政治家としての凄みを感じさせる。この時点ではまだ社会人一年生の息子たちを巻き込み、おそらく展開されるであろう田岡家と高樹家の最終バトルとなる第三部が早く読みたくなる。2022/09/08
starbro
212
堂場 瞬一は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 著者作家生活20周年記念超大作第二部は、二世の物語でした。新潟のローカルの話題が懐かしかったですが、ジャンク(ソウル)フード、イタリアンが登場するとは思いませんでした(笑) https://www.mikazuki-italian.com/ 10月の第三部を楽しみにしています。トータルの感想は第三部読了後に。 https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000015175/ 8月は、本書で読了です。2022/08/31
いつでも母さん
167
大河政治マスコミ小説三部作第二弾『泥流』を読了して、政治家の資質とか、記者の矜持とか‥漠然と浮かんだ次第。不正政治資金の問題は、時代が変わろうと付きまとうのが政界なのか?庶民の私には理解不能。清廉潔白?清濁併せ吞む?嵌められる?もはや魑魅魍魎の世界か。選挙の為の政治家も多いよね(汗)抜いて抜かれての新聞社とてパワーゲームの感は否めない。なのに本作を途中で止められないのは、高樹と田岡のその先が見たいからなのだ。田岡にしてやられた高樹の巻き返しなるか?息子達はどう動く?第三弾『激流』を楽しみにしたい。2022/08/09
あすなろ
127
堂場氏政治物シリーズ第2巻。正しくは政治とマスコミ物とすべきか。1巻は昭和の団塊世代を描いた物。この2巻は平成の団塊ジュニアを描いた物。そう捉えれば確かにこの平成版である2巻は正鵠を得ている。新聞を軸としたマスメディアが政治に取り込まれて行く季節という訳である。それを因縁ある二つの家庭も混え描き、二世代の心情を描く様は正に堂場氏ならでは。やはりこうしたポイント毎に心情を上手く描く堂場氏の筆に政治小説は合うと思わされた。派手な事件はないが、俯瞰したら最も平成とはそういう時代であった様な気もする。2022/09/17