出版社内容情報
遠い未来、銀河辺境の恒星系は人工的な楕円軌道を描いていたが、そこに生命の姿はなかった。【星系儀製作者/オーラリメイカー】と名付けられた所在不明の種族を、調査員のイーサーはひとり探索する。銀河の多様な生命体を通し知性の本質に迫る宇宙ハードSF。受賞作の他1篇を収録
内容説明
遠い未来、人類を含む天の川銀河の知的生命体による文明群は“水‐炭素生物連合”を結び、人工知性の文明ネットワーク“知能流”に対抗していた。あるとき、“連合”の調査団は銀河の辺境の恒星系を調査する。この系は明らかに高い技術力を持つ文明によって改造されていた。しかし系内をいくら探してもこの恒星系を作り上げた知的生命体は発見できなかった。調査員の一員のイーサーは、彼らが知的文明ではなくもっと別の何かなのではないかと考え、“知能流”に加入して独自に調査を続ける…宇宙に存在する知性の本質を問う宇宙ハードSF。短篇「虹色の蛇」を同時収録。
著者等紹介
春暮康一[ハルクレコウイチ]
1985年生まれ。山梨県甲府市出身。山梨大学大学院物質・生命工学専攻修士課程修了。現在メーカー勤務のエンジニア(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なっぱaaua
35
積読消化。超ハードSFだった。表題作は自分の想像力が落ちてしまったからか物語のイメージが出来なくて物語終盤になっていくつもの話が収斂される迄は読むのに大変苦戦した。一方「虹色の蛇」は同じ作者かと思う位筆致が自分に合うのかシーン一つ一つがイメージ出来て、思いのほか読み易かった。この2つの物語は同じ世界線にあるのだと思われる。遠未来宇宙はロマンだ。自分が決して生きて経験できる世界では無いのだが、こうやって物語の中で体験できることがとても楽しい。痛みを感じない無痛者だったら、生きるのは幸せなのだろうか。2022/01/15
tom
21
銀河規模というか宇宙規模の生命体(思考体)の意思と行動を書いたのが表題作。もう一つの「虹色の蛇」は、一つの星で起きている生命のバランスを描いたもの。この著者の作品は、生命の形態についての思考実験という趣き。これが読んでいて、面白く楽しい。表題作は、抽象度が高すぎて、物語に入るのが少々難しかったのだけど、「虹」は、おお!と思わせる新鮮さ。こういう物語を書く人、すごいと思う。2023/11/28
Mc6ρ助
16
読み友さんの感想から。好みという点ではツボにはまるハードSFなのだけど、一般受けはむつかしいのか?かつての谷甲州さんの航空宇宙軍史にこんな結末を期待したかった爺さまとしては著者の今後の作品への期待はいやが上にも高まるのでした。2021/08/07
記憶喪失した男
14
第七回ハヤカワSFコンテスト受賞作。「オーラリメイカー」と「虹色の蛇」の二作からなる。どちらも独創性のある本格ハードSF。考えたこともなかった着想が書かれていて、本当に面白かった。もっと詳しく精読する価値のある内容の難解さと濃さをもっている。ハヤカワSFコンテストの受賞作品は過去の巨匠たちの傑作にも対抗しようという高い志のある作品を選ぶことが多く、すごくちゃんと審査をしてくれる小説新人賞だなあと思う。2019/11/24
ノベツ
13
『法治の獣』が素晴らしかったので読んでみたが、こっちの方が好みで大満足! これが春暮康一第1作だが、インフレーションシリーズの時系列的には『法治の獣』の方が先。時系列順に読んだおかげで、ご近所さん達と仲良くやれてる地球人を見て微笑ましい気分になれた。 長文感想⬇ https://note.com/nobetsu/n/n0fab40e64dc9 2022/11/04