出版社内容情報
倉田 タカシ[クラタ タカシ]
著・文・その他
内容説明
もしも、うなぎが絶滅してしまったら―そのとき、わたしたちは何を想うのか?元うなぎ屋の父と息子がそれぞれの想いと葛藤を描く「うなぎばか」、とある任務を担ったうなぎ型ロボットの冒険「うなぎロボ、海をゆく」、“土用の丑の日”広告阻止のため江戸の平賀源内を訪ねる「源内にお願い」など、クスッと笑えてハッとさせられる、ポストうなぎエンタメ連作五篇。
著者等紹介
倉田タカシ[クラタタカシ]
1971年埼玉県生まれ。文筆家・漫画家、イラストレーター。2015年、第2回ハヤカワSFコンテスト最終候補作のポストヒューマンSF『母になる、石の礫で』で長篇デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いたろう
67
短編5編、すべて鰻に関係する鰻づくし。すべての話が、ニホンウナギが絶滅し、鰻が食べられなくなった近未来を舞台にして、①廃業した鰻屋の秘伝のたれを巡る騒動、②世界で激減した魚の密漁を監視する、鰻型ロボット(!)の話、③アマゾンの奥地に幻の「山うなぎ」(!!)を探しに行く話、④日本人が鰻を食べ過ぎて鰻が絶滅しないように、タイムマシンで、平賀源内に土用の丑の日の広告を出さないように頼みに行く(?!)話、⑤神様が願い事をさせるのに、鰻の絶滅がなかったという願い事をさせようとする話など。バカバカしくも楽しい短編集。2018/11/10
fwhd8325
63
うなぎを愛するばかりの物語。5編の物語に共通しているのは、うなぎ絶滅。ちょっとだけうなぎかまぼこ。どことなく、筒井康隆先生の作品を思い出しながら、楽しく読みました。「源内にお願い」が一番のお気に入り。ばかばかしいのではなく大まじめの世界です。2018/11/01
あじ
45
うなぎはうなぎでも“絶滅したうなぎ”をまな板に載せる短編集。土用丑の日の立役者に会いに行く「源内にお願い」が面白い。『山の芋鰻になる』思想で、SF作家らしいお重であった。★3/52018/08/05
いちろく
36
うなぎが絶滅したセカイを舞台にしたSF短編集。親子の料理に掛ける思いを描いた「うなぎばか」、漁獲量の減った海を描いた「うなぎロボ、海をゆく」、うなぎの代替食材を求める「山うなぎ」、土用の丑の日の廃止を願う「源内にお願い」、強引なお願い成就にはしる「神様がくれたうなぎ」とバラエティに富む内容。印象に残ったのは、食材について改めて考えるキッカケになった「山うなぎ」。先入観を持ってほしくない、というコトバに揺れながらも、食用にするか?しないか?の基準は何?と頭から離れなかった。生き物は頂いているのだ、と。 2018/08/04
miroku
27
うなぎ絶滅後の世界……。うなぎ。美味しいよね。冷静に見ればほぼ蛇なのに、うなぎと思うと美味そうに見えるから、人間、いいかげんだよね。ちなみにエビって、見た目ほぼ虫だよね。人の食べるものを気持ち悪いとか言っちゃいけないよね。2020/02/22