ドラッグと分断社会アメリカ―神経科学者が語る「依存」の構造

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  • サイズ B6判/ページ数 416p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784152096678
  • NDC分類 368.8
  • Cコード C0036

出版社内容情報

アメリカで薬物の過剰摂取による死亡者が増えている。厳しい取り締まりで防げないのはなぜか。社会の分断と依存の関係を丹念に検証。アメリカで薬物の過剰摂取による死亡者が増え続けている。厳しい取り締まりで防げないのはなぜか。薬物の人体への影響を調査し、さらに貧困や人種差別などの社会の分断と依存の関係を丹念に検証。「人生を棒に振る」ことを強いるのは薬物か、社会の不公正か。

カール・ハート[ハート カール]

寺町 朋子[テラマチ トモコ]

内容説明

「薬物常用者」とされるアメリカ人は2000万人にものぼり、過剰摂取による死亡者が増えつづけている。有効な対策にならない薬物政策はどこから生まれたのか。神経科学者が規制の歴史をたどり、薬物が人体にもたらす影響を実証することで、従来の依存のイメージを問いなおす。なぜ科学的な裏づけのない政策がまかり通るのか。この政策の犠牲者はだれなのか。マイアミの貧困地区から身を起こし、アフリカ系アメリカ人として初めてコロンビア大学の自然科学系終身教授についた著者が、自らの人生をかけて告発する。PEN/E・O・ウィルソン科学文芸賞を受賞し、“ニューヨーク・タイムズ”紙や“ボストン・グローブ”紙などで絶賛された科学啓蒙書。

目次

私の出自
あの前とあと
ビッグママ
性教育
ラップと報酬
薬物と銃
選択とチャンス
基本軍事訓練
「家庭とは憎しみがあるところ」
迷路
ワイオミング州
いまだに単なる一人の黒んぼ
実験参加者の行動
胸を突く出来事
新たなクラック
救いを求めて
虚構ではなく事実にもとづいた薬物政策

著者等紹介

ハート,カール[ハート,カール] [Hart,Carl]
コロンビア大学心理学科長。フロリダ州マイアミで生まれ、メリーランド大学で心理学の学士号を、ワイオミング大学で実験心理学と神経科学の修士号と博士号を取得する。神経精神薬理学の分野で数々の論文を発表するほか、薬物と社会と人間の行動に関する教科書を執筆する。2014年、『ドラッグと分断社会アメリカ―神経科学者が語る「依存」の構造』でPEN/E.O.ウィルソン科学文芸賞を受賞

寺町朋子[テラマチトモコ]
翻訳家。京都大学薬学部卒業。企業で医薬品の研究開発に携わり、科学書出版社勤務を経て現在に至る。訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

61
著者は、マイアミの貧困地区に育ったアフリカ系アメリカ人で、コロンビア大学で神経科学を専攻する教授。アメリカにおける黒人社会のドラッグ禍を社会文化格差から論じていて、マイストーリーの要素が入り込んでいる点がユニーク。貧しい黒人居住区で生まれ育った黒人の多くが、コミュニティのなかで周囲の人のまねをするかたちで薬物を使いはじめ、薬物を中心に回る社会集団とつき合っていることで薬物を使い続け、投獄と社会のメインストリームからの隔絶という悪循環から脱け出せずにいる。著者がいま社会のメインストリームにいるのはただ1点、2017/11/15

くさてる

30
貧困層に生まれ大学教授となった著者が自らの生い立ちを振り返ることによりアメリカにはびこるドラッグの影響と文化、偏見などについて警鐘を鳴らす内容。恵まれない家庭環境から自らの努力と人との出会いによって成長し、時に壁にぶつかる一種の立志伝として面白く読める部分と、ドラッグが人間に与える薬理的な影響について語った部分が水と油のように読めるのだけど、両方を抜きにしては語れなかったのだということはよく分かる。著者の人生についての部分は刺激的で面白く、ドラッグに関しては新たな知見を得られた気にもなりました。2017/04/05

白玉あずき

28
非常に主張がわかりにくい構成。著者の立ち位置が薬理学やら神経科学といった理系のせいだろう。現在のアメリカにおける薬物取り締まり法がきわめて非合理的であり、その誤った厳罰主義が社会の底辺層(特に黒人若年層)の社会への参加と自立を更に困難にしているとの主張。社会学系の学者さんの書いた物であれば、すっきりとわかりやすかった筈。一般人が色々なメディアから刷り込みされているほど、人間の薬物への依存性は高くない。薬物の中毒者であっても合理的判断はできる。貧しく社会的資本を持たない底辺層の人にとって、薬物以外に「代替刺2017/03/24

ステビア

18
自伝に近い。自らの経験を振り返りながらドラッグに関する誤解を解く。コカインも覚醒剤も世間で流布している話ほど恐ろしいものではない。ドラッグのせいとされていることが実は貧困や教育不足など社会的要因による場合は多いのだ。合法化ではなく非違法化を勧めている。2021/05/16

BLACK無糖好き

15
薬物の作用は予測できるが、黒人男性と警察とのやりとりがどうなるかは予測できない。この思いが著者の根底にありそうだ。マイアミの貧しい黒人居住区で育った著者が、人間の行動や生理機能に対する薬物の作用を長年研究してきた結果、一般的に社会に浸透している薬物のイメージと科学的根拠に乖離があるという。アメリカの薬物政策や関連の法執行にも警笛を鳴らしている。一方で、著者自身が常にクールな男であり続けたといった自賛のサクセスストーリー的な要素も強く、著者が本当に主張したい点が伝わりにくい構成になっている気もした。 2017/03/13

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