内容説明
シュウォーツとの猛特訓の結果、第三学年のシーズンが始まるころには、ヘンリーはウェスティッシュ大学はじめてのメジャーリーグのドラフト候補になっていた。打撃の腕をメキメキと上げ、守備でも、憧れのアパリシオ・ロドリゲスのもつ連続無失策の全米大学記録にあと一試合まで迫っていた。しかし肝心の試合で、なんでもないショートゴロを捕まえたその後の送球が、彼の周囲の人々―シュウォーツ、オーエン、アフェンライト学長、ペラ―の人生を一変させる。もちろん、ヘンリー自身の未来をさえ…。『ニューヨーク・タイムズ』ベストセラー！今世紀最高のデビュー作。
著者等紹介
ハーバック，チャド［ハーバック，チャド］ ［Ｈａｒｂａｃｈ，Ｃｈａｄ］
小説家、編集者。ハーバード大学卒業後、ヴァージニア大学大学院創作科を修了。九年の歳月をかけて完成させた『守備の極意』は、デビュー作であり、２０１１年に発売されるやいなや、有力紙誌や読者より熱狂的な支持を受け、『ニューヨーク・タイムズ』ベストセラーに半年にわたりランクインした。同年の『ニューヨーク・タイムズ』およびＡｍａｚｏｎ．ｃｏｍの年間ベストブックに選出された他、ガーディアン賞、国際ＩＭＰＡＣダブリン文学賞にもノミネートされた
土屋政雄［ツチヤマサオ］
英米文学翻訳家（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
吾亦紅
31
芸術的な守備をするヘンリー。大学で捕手を務めるマイクに見出され、弱小チームを全国優勝に導く。でも決して成功物語ではない。なぜなら彼は突然イップスになり、とんでもない送球をし始め、地区優勝戦はおろか全国大会での快進撃にも貢献していないのだから。野球小説でありながら、試合の描写は少なく、だからこそ最後の決勝戦の様子は息が詰まるような気持ちで読んだ。決勝戦の9回裏の攻撃で代打で送られたヘンリーが、とんでもなく泥臭いプレーでホームまで帰ってくる。逆転のランナーとして。「孤独」について思いを巡らせながら読んだ。2020/06/11
Panzer Leader
26
下手な美辞麗句などいらない、ウィスコンシンの地方大学の弱小野球部を舞台にした青春野球小説の傑作。 これほど自分が感情移入した登場人物達がいただろうか、大学時代がこうであったらなと思わせる魅力的な舞台設定、観客の一人になったように感じる試合の描写等全てが素晴らしい。2015/09/20
りつこ
21
ガイブン酒場で聞いたときからこれは絶対好きな小説だ！と思っていたけど、いやまさに。野球、恋愛、青春、友情、それらがぐちゃっと詰め込まれているのだが、テンションはそんなに高くなく、どこか少し上の方から面白がって見つめる作者の視線があって、なんとも独特な作品。野球がなければ出会わない人たち、停滞したままだった人生が、野球によって結び付き、ぼろぼろになりながらも再生してゆくのが素晴らしい。ドラマチック過ぎないところも好み。大好きだ。2014/01/17
猫のゆり
19
引き込まれた。ストーリーが抜群に面白いのはもちろん、登場人物一人一人のその時々の苦悩がとてもリアルに、身近に思えて時に苦しくなるほどだった。特に印象的だったのはヘンリーが意に沿わない試合の後、一人泣き、「泣き終えると、気分がいっそう悪くなった。…（試合中はアドレナリンが分泌し鋭い不安を生んでいたが）それがいま、起伏のない陰鬱一色の不快感に変わりつつあった。瞬間が来て過ぎ去り、次の瞬間が来て過ぎ去る。この連続が人生なのか」と思うところ。このように活きのいい小説をリアルタイムで読めるのはなんて幸福なのだろう。2014/02/12
わたなべよしお
17
良い小説でした。もう一度、大学に、戻りたくなった。この物語はどんな風に終わるのだろう。ヘンリーは、マイクは、べラはどうなるんだろうと読んでいたが、今は、続きが読みたい。まぁ、続きが書かれることはないだろうが、できれば続きを書いてほしい。2014/04/19
