内容説明
歴史上ずっと、訪れる人に街の鍵を渡すならわしが続いてきた。特別な客には二つの鍵を、とりわけ特別な客には三つの鍵を。荒れ狂う嵐にさらわれて、少年が降り立つた先は、魔法と伝説の街、プラハ。少年はプラハにまつわる伝説を読み、読み終わるごとに金の鍵が残される。闇と夢の絵本作家ピーター・シスが描き出す少年の思い出、プラハの光と影。
著者等紹介
シス,ピーター[シス,ピーター][Sis,Peter]
1949年、チェコ生まれ。プラハとロンドンで絵画と映画を学ぶ。1982年、アメリカ合衆国に移住。コールデコット・オナーブックを受けた『星の使者』(徳間書店)はじめ受賞歴多数
柴田元幸[シバタモトユキ]
東京大学文学部教授、翻訳家。現代アメリカ文学の翻訳・紹介が主な仕事
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
225
アメリカに移住したピーター·シスが、故郷プラハへの望郷の念を、幼い娘マデリンに語る。少年に戻って、その妖しげな美しい迷宮を、黒猫に誘われながら彷徨う。村上春樹の新作「街とその不確かな壁」の街は、こんな雰囲気かもしれません。冒頭の娘への優しい言葉も素敵です。訳者柴田元幸さんも言うように、魔法の街プラハの光と影を見事にとらえた傑作です。2023/05/27
どんぐり
102
現代アメリカを代表する絵本作家ピーター・シスが祖国チェコへの想いを描いた作品。少年が気球から降り立つ魔法と伝説の街、プラハ。少年は黒猫に導かれて3つの鍵を手にする。最初はブルンツヴィーク、次はゴーレム、最後はハヌシュ。古い古い巻紙に書かれた物語を読む旅に鍵を一つ手にしていく。アンチンボルドの『司書』『四季』のだまし絵、ロボットたちの絵も描かれている。3つの錆びた南京錠で開いた扉の先には、光あふれる日常の風景が現れる。今月末に八王子夢美術館で「ピーター・シスの闇と夢」の展覧会も始まる。もう数冊読んでみよう。2023/06/27
マリリン
54
緻密で幻想的かつ優しさを感じる絵に惹かれた。著者の幼い娘が読めるようになる未来を想い、故郷プラハの思い出を、三つの金の鍵に共に巻紙に綴って託す。鍵のそれぞれにストーリーがあり、3本の巻紙に引用された作家の言葉や、小さなストーリーが書かれている。案内人であるかのようにしなやかに躍動する黒猫の仕草や表情がが可愛い。父から娘への温かく深い愛情が伝わってくる。2022/02/18
♪みどりpiyopiyo♪
54
歴史上ずっと、訪れる人に街の鍵を渡すならわしが続いてきた。特別な客には二つの鍵を、とりわけ特別な客には三つの鍵を… ■魔法と伝説の街 プラハ。魔宮に迷い込むような不思議なご本を読みました。奇妙な街並み、古の都。■夢と現の溶け合うところ。闇と夢の絵本作家ピーター・シスが描き出す少年の思い出、プラハの光と影。ゆったりと時間をとって、絵とモノローグをゆっくり読み解きたい絵本です。(2005年)2019/11/06
パフちゃん@かのん変更
46
著者が少年時代を過ごした街プラハ。幻想的な魔法のようなプラハの街。いつか行ってみたい。美しく切ない感じの大人向け絵本だと思う。2015/03/29