内容説明
六十代の独身男ポール・レマンは自転車の事故で片脚を失った。医師は義足を勧めるが、ポールはかたくなに拒否、アデレードの自分のフラットで要介護の暮らしを始める。かつて離婚を経験し、その後は勝手気ままに暮らしてきた。それゆえに、福祉事務所から紹介される介護士たちの年寄り扱い、子供扱いへの苛立ちは募るばかり。彼は人生に絶望しかかっていた。そんな折、ポールのもとにマリアナ・ヨキッチという介護士が送られてくる。仕事熱心で美しいマリアナに、ポールは惹かれていく。だが、彼女には夫と子どもたちが。ポールはマリアナに愛を伝えようと苦心するが、見知らぬ女性作家の出現が彼の人生をさらなる混沌へと導く。ノーベル賞作家の傑作長篇。
著者等紹介
クッツェー,J.M.[クッツェー,J.M.][Coetzee,J.M.]
1940年、南アフリカ・ケープタウン生まれ。ケープタウン大学で文学の修士号を、テキサス大学オースティン校で言語学の博士号を取得。アメリカ、南アフリカの大学で教鞭を執りながら小説の執筆をはじめ、1974年、『ダスクランド』で長篇デビュー。1977年発表の『石の女』にて南アフリカで最も権威あるCNA賞を受賞。1980年の『夷狄を待ちながら』では、CNA賞に加え、英国のジェイムズ・テイト・ブラック記念賞を受賞した
鴻巣友季子[コウノスユキコ]
お茶の水女子大学大学院修士課程英文学専攻、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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