最初の刑事―ウィッチャー警部とロード・ヒル・ハウス殺人事件

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  • サイズ B6判/ページ数 514p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784152092120
  • NDC分類 936
  • Cコード C0098

出版社内容情報

十九世紀半ばの英国。幼児惨殺事件を捜査する敏腕警部の推理と事件の数奇な結末とは? ジョン・ル・カレ推薦のノンフィクション大作

内容説明

1860年、ヴィクトリア朝時代の英国。6月のある朝、のどかな村にたたずむ屋敷“ロード・ヒル・ハウス”の敷地で、当主の3歳の息子が惨殺死体となって発見された。殺された子どもは施錠された屋敷内にいたはずだった。犯人は家族か、使用人か?世間が注目するなか、捜査の任についたのはジョナサン・ウィッチャー警部。1842年にスコットランド・ヤード刑事課が創設された際に最初に刑事になった8人のうちのひとりで、ずばぬけた技量を持つ敏腕刑事である。優れた推理力をはたらかせ、事件の謎に迫るウィッチャー。しかし、非協力的な遺族や、プライバシー神聖視の風潮、加熱する報道、さらには刑事への偏見もあいまって、事件は数奇な道すじをたどる―ヴィクトリア朝英国を揺るがし、後に数々の探偵小説が生まれるもととなった幼児殺害事件の驚くべき真相とは。当時の特異な世相をも迫真の筆致で描き出す圧巻のノンフィクション。サミュエル・ジョンソン賞ほか受賞作。

目次

第1部 死(きっとあれに違いない;恐怖と驚き;神はこれをさぐり出さずにおかれるでしょうか ほか)
第2部 刑事(謎の男;糸口はみな断ち切れているらしい;彼女の浅黒いほおの中で、何かが ほか)
第3部 解明(渇望のごとく;狂っているほうがまし;わたしの愛は変わった ほか)

著者等紹介

サマースケイル,ケイト[サマースケイル,ケイト][Summerscale,Kate]
1965年、英国生まれ。英オックスフォード大学および米スタンフォード大学でジャーナリズムを専攻後、新聞社に勤務。1997年に『ネヴァーランドの女王』でデビューし、サマセット・モーム賞を受賞。2008年に発表した第2作である『最初の刑事―ウィッチャー警部とロード・ヒル・ハウス殺人事件』はたちまちベストセラーとなり、サミュエル・ジョンソン賞およびギャラクシー・ブリティッシュ・ブック・アワードを受賞したほか、英国推理作家協会(CWA)賞とアメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞にノミネートされた

日暮雅通[ヒグラシマサミチ]
1954年生、青山学院大学理工学部卒、英米文芸・ノンフィクション翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ペグ

61
何年ぶりかの再読本。19世紀半ば、イギリスはロンドンから離れたトロウブリッジ近くのカントリーハウスで起きた殺人事件を、ヤードから派遣されたウィッチャー警部が捜査する。当時、警察官や探偵は下層階級とみなされていたので、上流階級の家を捜査するのは非常に困難な状況だった。そんな中で、冷静に推理するウィッチャー警部。ディケンズやコリンズなどは、この事件にインスパイアされて小説に取り込んでいる。当時の人々の意識、生活などが綿密な調査のうえで描かれていて読み応え充分なノンフィクションでした。2017/04/13

藤月はな(灯れ松明の火)

52
英国史上最悪の通り魔殺人として有名な切り裂きジャックと同時期に起きた探偵小説の大元になった幼児殺人事件のノンフィクション。初動捜査の遅れと過ち、最新職だった刑事への偏見、マスコミの過熱報道、被告の言い分を無視し、型に嵌めようとする裁判制度などによって真相は錯綜してしまう。コンスタンスや兄弟が事件後、オーストラリアで幸せそうなのが救いですが時を経ての自叙伝や幼児が短命で家族が似たような死因だった理由から導き出された可能性。しかし、全ては藪の中。あの写真を見た時に感じたことを後記を読んでなぜか、ぞっとしました2013/03/14

よむよむ

50
100年以上も前の英国でのお話。事実は小説より奇なりを地で行く事件を捜査するのは、世界初?の刑事ウィッチャー氏。当時の社会情勢や市民生活の実態には驚いたり、飽きれたりの連続。本編以外の事件の詳細が多くてなかなか読み進められなかったけれど、膨大な資料を丹念に調査して驚くべき作品に仕上げた作者に感嘆です。2012/01/14

星落秋風五丈原

48
ミステリ小説では、警察は常に探偵の引き立て役だ。しかし、現実には我々は新聞やニュースで犯人逮捕の記事を目にする。ならば現場の捜査関係者が、探偵に代わる能力の持ち主であるということだ。証拠物件が存在せず、状況証拠と自白を含む証言に頼るしかない。お定まりのような地方捜査陣のスコットランドヤードからやってきた余所者刑事に対する反発もあって、捜査はなかなか進まない。当時この事件は世間の注目を集め、現代と同じようにマスコミが捜査状況を逐一報道するため、民衆とマスコミという、見えない敵がウィッチャー刑事を責める。2018/07/16

紅はこべ

40
コンスタンス・ケントって聞いたことのある名前だなと思ったら、バークリー『毒入りチョコレート事件』で殺人者の例として名前が出ていた。ノンフィクションだけど、ディケンズの小説を読むような面白さ。2012/01/25

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