内容説明
ディーリア・ホプキンズ、32歳。幼いときに母親を亡くし、以来父親の手ひとつで育てられた。父の深い愛情に包まれ、何不自由ない少女時代ではあったが、やはり母のいない寂しさは埋めようがなかった。母が生きていてくれたら、とことあるごとに夢見ながらおとなになった。ところがある日、衝撃的な出来事が起こる。父の逮捕。容疑は28年まえの幼児誘拐。被害者はなんと、当時4歳だったディーリア自身。離婚した妻のもとから彼女を連れ出して、28年間、身分を偽り、真実をひた隠しにして生きてきたのだった。ディーリアは激しく動揺する。愛する父が犯罪者?母は生きているの?わたしはほんとうは誰なの?幻のように消えてしまった自分の過去を探る彼女は、やがて苛酷な真実と向き合うことに…。誘拐、アルコール依存、親子関係など、答えの出せないさまざまな問題を読者に突きつける意欲作。
著者等紹介
ピコー,ジョディ[ピコー,ジョディ][Picoult,Jodi]
1966年ニューヨーク州生まれ。プリンストン大学、ハーヴァード大学大学院に学ぶ。1992年、Songs of the Humpback Whaleで作家としてデビュー
川副智子[カワゾエトモコ]
早稲田大学文学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
30
映画にもなりそうな話材。彼女が描きたいのはやはり家族なんですね。ただ総てを知っている人をも含めて語り手の視点が移動するのはちょっとうざったかった。2019/02/13
紅咲文庫
6
年を超えて読了。『私の中のあなた』の衝撃を読んだ後だから、もうそんなに驚かないと思いつつ、やっぱり残りわずかとなったあたりで、えっ!となる。28年隠し通す最終の動機は、言われてみればそうだよね、それしかないよね。親子の、恋人の、夫婦の愛情も、がんじがらめの友情も、ひとつひとつ積み重なるエピソードがあり、プラスの気持ちもマイナスの気持ちも織り交ぜられているからこそ厚みがます。アンドリューが恋に落ちたエリセ、愛することとその生活を認められないこと、どちらも自分の中にある感情で苦しさも一層。3人がタッチを彷彿。2020/01/08
fig
6
自分の子供時代と両親について、ある日突然知らされた事実。それはすぐさまアイデンティティの喪失を招いてしまうことに繋がりうるか。そんな面から私にはディーリアに感情移入するのが難しい部分もあり、アメリカの法律や現状が実感できづらい部分もあった。しかし、語り手であるそれぞれの人物が抱えるものは、私にも遠い絵空事の話には聞こえず、迫ってくるものがあった。ストーリーとしては色んなピースで盛り沢山。2009/10/19
にゃんこ
5
「私の中のあなた」が良かったので、他も読んでみたいと思いまして。ものすごく欲張りな作家さんと評されるとおり、今作もテーマがてんこ盛り。どれも深く掘り下げていて、結果、約600ページのボリュームに。答えの出せない問い、正解のない問題を扱うのは、私の中の〜のときと同じで、重いボールをバシバシ読者に投げかけてきます。幼馴染のエリックとフィッツがどちらもカッコよくて、主人公ディーリアへのとろけそうな愛情にドキドキしました。作者の恋愛モノが読みたいです。絶品の予感。2024/05/20
short
4
元来翻訳が苦手なので、ちょっと読みづらい感じも。主人公には特に感情移入できず、あちこちてんこ盛りの内容には少々中だるみしたけど、終盤はすごくグイグイと読まされた。読み終えてみれば、ストーリー自体はとても面白かったと思う。2010/01/02