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本泥棒

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  • サイズ B6判/ページ数 692p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784152088352
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

わたしは死神。自己紹介はさして必要ではない。好むと好まざるとにかかわらず、いつの日か、あなたの魂はわたしの腕にゆだねられることになるのだから。これからあなたに聞かせる話は、ナチス政権下のドイツの小さな町に暮らす少女リーゼルの物語だ。彼女は一風変わった里親と暮らし、隣の少年と友情をはぐくみ、匿ったユダヤ人青年と心を通わせることになる。リーゼルが抵抗できないもの、それは書物の魅力だった。墓地で、焚書の山から、町長の書斎から、リーゼルは書物を盗み、書物をよりどころとして自身の世界を変えていくのだった…。『アンネの日記』+『スローターハウス5』と評され、アメリカ、イギリス、オーストラリアなどで異例のベストセラーを記録した、新たな物語文学の傑作。

著者等紹介

ズーサック,マークース[ズーサック,マークース][Zusak,Markus]
1975年、ドイツとオーストリアから移民してきた両親のあいだに、オーストラリアで生まれた。1999年のThe Underdogに始まる、自伝的要素の濃い「ウルフ三部作」を発表し、ヤングアダルトの作家として注目を浴びる。2002年刊の『メッセージ』で、オーストラリア児童図書賞、プリンツ賞のオナー賞を受賞している。『本泥棒』は大人向けに書いた初めての作品で、出版後たちまち「ニューヨーク・タイムズ」のベストセラーにランクインし、異例のロングセラーを続けている

入江真佐子[イリエマサコ]
国際基督教大学教養学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

紅はこべ

125
『アンネの日記』+『赤毛のアン』かな。『スウィングしなけりゃ意味がない』はブルジョワの少年達の抵抗だったが、こちらは庶民の抵抗。本書で描かれるナチス政権下のドイツの雰囲気が現在の日本に似ているのが恐ろしい。主人公が本を読む習慣を身につけることで成長する点は、『やんごとなき読者』に通じるか。結構ローザが好き。リーゼルとルディは幼い恋とは安直に呼びたくない、これこそ腹心の友。権力に迎合するか、正しいと信じたことを貫くか、人はどこで分かれるのだろう。2018/04/13

ちょろんこ*勉強のため休止中

119
号泣した。登場人物達が生きているのだ。血が通っていて温かい人ばかり。なんというか本当に”ハート”があるのだ。特に主人公リーゼルの里親二人の人物造形が素晴らしい。また児童文学の作家だけあって、子供たちが特に生き生き描かれていた。語り部の死神がこの先の展開をばらしてしまうので、ストーリーを追う楽しみを味わう本ではない。最初は文字を読めなかったリーゼルは、言葉の持つ力を得て成長していく。言葉は生き物だ。そしてリーゼルの生きる力。彼女にとって本を盗む事は、理不尽な世界から生を取り返していく事でもあったのだ。傑作!2014/02/06

chimako

94
ようようの読了。力のいる読書だった。第二次世界大戦中のドイツ。ヒトラーとユダヤの人々。父と弟を亡くし、母親によって里親に預けられた女の子。その家族に救われ匿われるユダヤの青年。友だちの少年。隣人。町長婦人。その誰もがいつの間にか不幸になっていく。戦争は終わらず、人々は体も心も深く傷つき、逃げ惑う。その中で本の持つ意義や本の持つ使命が語られていく。防空壕のなかでの朗読、息子を亡くし心を閉ざす母親に読み聞かす物語。やがて少女は書くことに喜びを見いだす。愛する人が尽く死んでしまった後、残ったものは何だったのか。2017/04/28

ずっきん

81
『書店主フィクリーのものがたり』に登場した老婆でなくとも「なんてものを読ませるんだ!」と吐き出さずにいられない。ナチス、ユダヤ人、スターリングラードへと送られた息子たち。『我が闘争』がドイツを席巻していく。いたわりと罵倒。言葉は美しく、なおかつ醜い。この物語は、人間は、なんと優しく残酷であることか。あまつさえ語り手の死神が、登場人物たちの哀しい行く末を予言していく。それでも『本泥棒』である少女リーゼルの歓びと嘆きが染み込んでいく。死神が目にする情景に包まれるのだ。YAと侮るなかれ。読まずに死ねるかの一冊。2021/05/01

seri

73
形容するなら「言葉の重みを感じる本」語り手は死神。舞台はナチ政権下のドイツ。ミステリを狙う訳ではないと明言し、結末を先に語られる。読み始めの頃には文字はただの情報でしかない。けれど後半に進むにつれて言葉は重みを増していく。先に明示されて知っている結末を、もう一度読む時にそれは力を持った言葉となる。時にやさしく、時に暴力的なまでに言葉で揺すられる。これは里子に出されたやせっぽっちの一人の女の子の話。本と言葉の力が、一切れのパンより強いことを証明する話。世界は、人は、美しくて醜い。それを知る本泥棒が生きた証。2016/01/12

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