内容説明
この広い宇宙にはたまらなく不思議なものがたくさんあるのです。十二篇の傑作を収録。
著者等紹介
シェクリィ,ロバート[シェクリィ,ロバート][Sheckley,Robert]
1928‐2005。ニューヨーク生まれで、ニュージャージーのメイプルウッドで育つ。ハイスクール卒業後、軍に入隊し、3年間朝鮮に駐屯。除隊後はニューヨーク大学に学び、その間に作家デビュー。『不死販売株式会社』などの長篇のほか短篇の名手として知られている
宇野利泰[ウノトシヤス]
1909‐1997。1932年東京大学独文科卒。英米文学翻訳家。エラリイ・クイーン、ジョン・ル・カレらの作品などを多数翻訳(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まこみや
46
初期のSF読み直しの第二弾。きっかけは毎日新聞「なつかしい一冊」に貴志祐介さんが紹介されていたことに因る。清水義範氏が解説でシェクリイを「あんまりヘンな話なので、読み終えてキョトンとして、なんだか愉快になる」と評している。確かに荒唐無稽というより奇想天外、ユーモアというよりウイットという言葉がぴったりくるような気がする。かつては星新一や安部公房も贔屓にしていたようだが、今やすっかり忘れられた作家になっている。辛辣な風刺の効いた、その軽妙な語り口を味わうと、忘却されるには惜しい作家だなあ。2022/05/09
ミツ
25
いかにもあのおなじみのテーマ曲と共にタモリが語り出しそうな、十二の世にも奇妙な物語。ロマンスを売る会社、殺人を抑止する機械鳥、空から落ちてきた謎の物体X…。古き良きSFらしい題材を扱いながら全く予想もしていなかったオチがつき、いい意味で期待を裏切られる。ウィットに富みつつもどこかしらブラックな皮肉が効いていて、暗黒微笑を浮かべること請け合いである。特に良かったのは地球社会に馴染めなかった男の悲喜劇「先住民問題」無人の衛星ステーションの目的とは「パラダイス第2」完全なる愛を表現する言語を求めて「愛の語学」2016/01/05
藤月はな(灯れ松明の火)
24
SFなのにぴりりと考えさせられる皮肉が効いているのが良いスパイスとなっていてクスリと笑ったり、ヒヤリと汗が流れたり、様々な感情を味わうことができました。「風起こる」、「監視鳥」、「ひる」、「パラダイス第二」、「給餌の時間」がお気に入りです。特に「監視鳥」はデュ・ダフネ・モーリアの「鳥」と徹底化した論理による機械の異常的な作動も描いた映画の「アイ・アム・ロボット」のミックスのようでした。2012/10/30
k16
16
コミカルSFショートショート集。12作品。 新しい作品ではないものの十分面白い。 印象的な作品は 『ひる』エネルギーを吸収し拡大する細胞の話。ウルトラマンマックスのイフの話思い出した。 『監視鳥』殺人抑止のため作られた監視鳥の話。 『先住民問題』過去に移住先を求めて旅立った人類がたどり着いた星にはつい最近移住してきた人類が。面白いよね。全然違うけどバクスターの『時間的無限大』思い出した。 『乗船拒否』人種問題を皮肉った作。 どれも人類とは愚かだなと考えさせられる。2020/02/29
スターライト
13
多くのアンソロジーに収録された有名な「ひる」を初め、全12篇を収録。原著が60年刊ということもあってか、50年代後半の作品が多い。宇宙からやってきたあらゆるエネルギーを消費して巨大化し、軍事攻撃にびくともしない生命体に意外な方法で解決する「ひる」、まるで当時の冷戦時代の核開発競争を揶揄するかのような「監視鳥」、時間旅行ものの秀作「倍額保険」も忘れがたいが、集中のベストは「暁の侵略者」。人類よりも劣っていると思っていた先住民に、たたかいの無意味さ、生物と無生物の死のとらえ方の違いを語る作品にはうならされた。2022/02/04