内容説明
どことも知らぬ砂漠の惑星。そこでは“ハハ”と呼ばれる銀色の巨大な装置が、荒れた大地を耕し、さまざまな種子を播きながら移動を続けていた。“ハハ”に寄生する人々のムラで、少年ニジダマは暮らしていた。どこかに存在するというトシに憧れる彼は、ある日、トシからの交易人を名乗る男ツキカゲを迎える。それは、世界に隠された大いなる秘密と、ささやかな約束へとみちびく出会いであった―植物育種家にして叙情SFの名手が描く、とある世界の発芽と収穫の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
GaGa
15
これは思わぬ拾い物(失礼)だった。リリカルな文体で綴られた独自の世界観は思いのほか心地よく、しっとりと楽しめた。作者は穀物の品種改良をされている方とか。寡作家のようだが、次回作を気長に待ちたい。2010/06/25
やんやん
11
世界観や設定が素敵で いい感じだと思って読んでいきました。スペースシャトル云々はわからなかった。世界観のまま冒険して欲しかったです(勝手な話ですが(^^;)) 表紙も素敵で惹かれましたよ。2013/10/19
miroku
8
現実と仮想現実の融合する未来の孤独。なんか・・・切ないね。2011/05/01
けいちゃっぷ
8
現実と思われていた世界が実は・・・という話は大好きです。やや世界観が薄っぺらい感じもしますが、どうなるのかなというワクワクした気分のまま読み終えました。245ページ2010/12/29
inugamix
5
情報処理する多肉植物。自走するナノマシンの巨壁。植物群に都市が息づき壁のうしろに村ができる。とにかく世界が魅力的。角が丸くてふわりと素朴な肌合いがサイバー方面とはちょっとなじまない気がした。なんかこう椎名誠的な定かならぬ未来技術っぷりを勝手に期待。驚愕の結末とか瞠目のアイデアとかをこしらえなくてもイケる人じゃないかと思いつつ、3冊目はどれを読もうかな。2010/07/23