内容説明
映画はフランスで始まった!そして、高度な文化・芸術・産業としてフランス映画はいまも、アメリカにおとらぬ重要性をもった作品や監督や技術者を生み出しつづけている。そもそもトリック撮影やアニメーション、犯罪映画など、映画の重要な分野を世界に先駆けて開拓したのもフランス映画だった。本書は、リュミエール兄弟による映画の発明から、ルノワールら巨匠たちによる往年の傑作、映画の革命ヌーヴェル・ヴァーグ、近年の大ヒット作『アメリ』まで、フランス映画百余年の歩みをコンパクトに紹介する最良の一冊である。アメリカの娯楽映画とは異なる、人間とこの世の真実への深い洞察にみちたフランス映画の世界へようこそ。
目次
フランス映画の魅力とはなにか
映画の始まり―リュミエール兄弟とメリエス
映画産業の成立―フィルム・ダールと犯罪映画
映画芸術の深化―フランス印象派とアヴァンギャルド
フランス映画の黄金時代―詩的レアリスム
天才と巨人―ヴィゴとルノワール
占領と解放―一九四〇年代のフランス映画
フランス映画の安定期―フィルム・ノワールと運命のドラマ
個性的な作家たち―ブレッソン、タチほか
映画の革命―ヌーヴェル・ヴァーグ〔ほか〕
著者等紹介
中条省平[チュウジョウショウヘイ]
1954年神奈川県生まれ。学習院大学文学部フランス文学科教授。パリ大学文学博士
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
77
知らずに再読しました。本のタイトルが『…映画の誘惑』ではなく『…映画史の誘惑』とするあたりのセンスとひと味違ったアプローチがさすが映画好きの中条さんらしい。映画初期に活躍したメリエスさんは多重露出、フェイドアウト、オーバーラップ、スローモーション、コマ落とし、カラー(彩色)といった映像技術を開発して、映画芸術の可能性を探求したそうです。そうした人たちのおかげで、映画を楽しめるんだなぁ…と思います。 2019/06/12
コットン
67
フランス映画の歴史が年代をおって興味深く書かれている。私的にはブニュエル『アンダルシアの犬』、カルネ『天井桟敷の人々』、ブレッソン『スリ』、ヒッチコック=ホークス主義者と自ら称していたヌーヴェル・ヴァーグの監督達などが面白い。2019/02/10
Tetsuharu Hanazaki
7
100年以上前にフランスで始まった映画史。ものすごく面白い。 映画監督ジャン・ルノワールの作品「ゲームの規則」のセリフから始まる。 「この世界には恐ろしいことがひとつある。それは、すべての人間の言いぶんが正しいということだ」 このセリフは、多様性を理解する上の基本的な価値観だと恐ろしいほど感じます。 世代を超えてたくさん紹介された映画で、著作権の切れた古い映画はYouTubeなどでも鑑賞できます。オススメは、セシル・デミル監督「チート」です。2021/04/26
りょう
7
最近、映画を見るようになって、映画史を押さえておきたいなと思い読書。といっても見るのは大体アメリカ映画だけれども(笑)『映画はフランスで始まりました』で始まる本書。え、映画ってエジソンの発明でしょ?ノン、今の映画のカタチはフランスから始まったのです。映画の始まり→フィルム・ノワールの登場→フランス映画黄金時代、詩的レアリスム→ブレッソン『ゲームの規則』→映画の革命、ヌーベル・ヴァーグ!(ここでゴダールの登場)→ポスト・ヌーベル・ヴァーグとその後、という流れでフランス映画史100年余りを俯瞰できます。2013/11/10
zumi
5
便利です。2014/09/02