内容説明
黒人も女性も、自分たちの立場をわきまえていた。“ゲイ”という単語は、まだ“ハッピー”の同意語にすぎなかった。商店は日曜日に休業し、われらの爆弾は敵の爆弾より大きく、米国陸軍は無敵だった。無知な私は、世界はすべて順調にいっているものと思っていた。1958年は、そんな時代だった。テキサスの田舎町デューモントに引っ越してきた私は、まだ13歳だった。父さんのドライヴ・イン・シアターで映画を観て、新しく出来た友達と遊び、姉とそのボーイフレンドを冷やかして、夏休みを過ごすはずだった。ところがある日、家の裏で犬と遊んでいた私は、地面に埋められていた古い手紙と日記の断片を発見する。それは思春期の少女が綴った恋の記録だった。さらにその先の森には、焼け落ちた屋敷の跡が黒々と聳え立っていた。好奇心にとらわれた私は、古い事件を調べてみた。そこでは13年前、火災で一人の少女が命を落としていたのだ。さらに奇怪なことに、同じ夜、町外れにすむ別の少女が、首無し死体で発見されていた。どちらの事件も真相ははっきりしないままだ。私と姉は、事件の真相を突き止める決心をするが…人生で最高に輝いていた夏休みと、それを彩った数々の事件。MWA賞受賞作『ボトムズ』をも凌駕する、鬼才の最高傑作。
著者等紹介
ランズデール,ジョー・R.[ランズデール,ジョーR.][Lansdale,Joe R.]
テキサス州グレードウォーター生まれ。テキサス大学卒業後、様々な職業を転々とし、1980年Act for Loveで作家デビュー。以後、黒人と白人の異色コンビ、ハップ&レナード・シリーズをはじめとして、ミステリ、ホラー、ウェスタンなどさまざまなジャンルの作品を手がけ、世界幻想文学大賞やブラム・ストーカー賞の常連受賞者でもある。2000年に発表した『ボトムズ』では、東テキサスを舞台に少年時代の恐怖の原風景を描いて高い評価を得、アメリカ探偵作家クラブ賞の最優秀長篇賞を獲得した。作家であると同時に、合気道や拳法を学び、独自に考案した護身術の師範として多くの門弟も抱えている武道家でもある。現在もテキサス州に在住
匝瑳玲子[ソウサレイコ]
青山学院大学文学部英米文学科卒、英米文学翻訳家
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