出版社内容情報
トロンの開発者が大いに語る日本型IT戦略。
携帯電話など世界で一番多く使われている組込型OSトロンの開発者が、アメリカ追随思考を脱却した、日本独自の技術と文化の発信を提唱。
IT革命礼賛から一転して、IT産業が世界的不況の元凶とまで言われるようになった今。しかし、そのような表層的な現象に関係なく、「情報文明」という新しい文明は確実に、人類のあり方をドラスティックに変革しつつある。
▼著者・坂村健氏は、1980年代後半に、「生活のどこにでも入り込める」「オープン仕様で誰でも無償利用できる」「どんな人も使えて役に立つ」「世界中の多様な文字・言語に対応できる」ことをコンセプトに掲げたオペレーション・システム、TRONを開発。TRONはその後多方面に進化を遂げ、いまやTRONは、携帯電話・デジタルビデオ機器など、世界中で最も多く使われる組込型OSとなった。
▼本書で著者は自らのこれまでの歩みを振り返り、今こそ、日本はこれまでのアメリカ追随志向を脱却し、「モバイル」と「文化の多様性」を核にした独自のモデルを世界に向けて発信すべきであると主張。次世代IT社会の指針たる一冊。
●第1章 「追いつけ、追い越せ」思想からの脱却
●第2章 時代がTRONに追いついた
●第3章 日本発OS「超漢字」
●第4章 IT革命、次なる展開
●第5章 情報文明の日本モデル
内容説明
世界中の人々がネットワークで瞬時に結ばれる情報文明の新時代。いま日本がなすべきは、ブロードバンドの普及率を他国と競うことでも、経済状況の変化に一喜一憂することでもない。モバイルを強みとする独自のモデルをいかにして確立するか。そして、グローバリズムの波に抗して、いかにして自らイニシアティブをとり、多様なるアジア文化を発信していくか。世界でもっとも使われる組み込みOS・TRONを開発し、今なお意欲的な挑戦を続ける著者が次世代IT社会への戦略を大いに語る。
目次
第1章 「追いつけ、追い越せ」思想からの脱却(リアルな認識の必要性;アメリカ追従思考は時代遅れ ほか)
第2章 時代がTRONに追いついた(TRONとは何か;なぜTRONプロジェクトを始めたのか ほか)
第3章 日本発OS「超漢字」(情報の根幹は「言語」と「文字」;ユニコードのどこが間違っているのか ほか)
第4章 IT革命、次なる展開(IT社会の光と影;まだ残された課題 ほか)
第5章 情報文明の日本モデル
著者等紹介
坂村健[サカムラケン]
1951年東京生まれ。東京大学大学院情報学環学際情報学府教授。専攻はコンピュータ・アーキテクチャ(電脳建築学)。1984年からTRONプロジェクトのリーダーとして、まったく新しい概念によるコンピュータ体系を構築して世界の注目を集める。現在、TRONは世界で最も使われている組込OSとなっている。さらに、コンピュータを使った電気製品、家具、住宅、ビル、都市、ミュージアムなど広範なデザイン展開を行なっている。1999年からIEEE(米国電気電子学会)のマイクロエレクトロニクスの学会誌である「Micro」のEditor In Chief(編集長)。第33回市村学術賞特別賞、2001年武田賞受賞
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