内容説明
なぜか男と別れた女性ばかりがやってきて住みつく町、フロリダ州ヴェリティー。この町では、猛烈な暑熱と湿気に襲われる五月になると何かが狂い出す。海亀たちは街灯の明かりを月光ととりちがえ、街路を横切り移動を始め、あげく車につぶされてしまう。人も頭がおかしくなってしまうのだ。ルーシーとジュリアンが出会い、すべてが一変したのも五月だった。ある日、ルーシーの12歳の息子キースが失踪した。おりしも、ひとりの若いシングルマザーが殺され、赤ん坊が消える事件が町を騒がせていた。いくら“ヴェリティーの町いちばんの悪ガキ”でも、キースがまさか殺人までするはずがない。愕然とするルーシーの前に現われたのは、近寄りがたい雰囲気の警察官、ジュリアンだった。やがて、反発しあう二人の心に奇妙な変化が…。空想と現実を巧みに織り合わせるストーリーテラーが、人生のマジカルな瞬間を紡ぐ感動のハメット賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
12
5月は誰でも狂っておかしなことをしてしまう。ロマンスありサスペンスあり、でもミステリと主張するには弱いかな。2019/02/15
fig
2
情愛というものは、注いだだけ返されたりはしない。情愛の在り処もその現れ方も、人によってそれぞれで、人同士の触れ合いとはどれほどの齟齬と誤解の上に成り立つものかと考えてしまう。得られようと得られまいと、感じようと感じまいと、人はその日を生きていくのだとちょっと優しい気持ちになりつつ、描かれた悪ガキたちが最後には愛しく思える作品だった。2009/08/15
hinarin
1
初読み作家さん。ファンタジーなのかミステリーなのかその中間なのか、でもおもしろかった。2012/01/14
-
- 和書
- 狼は罠に向かう 徳間文庫