内容説明
愛情をこめて抱きしめると、優しい子どもになる。寝る前に本を読み聞かせると、子どもは勉強好きになる。離婚は子どもの学業成績を低下させる。体罰は子どもを攻撃的な性格にする。これらはすべて間違いだった!育児のしかたが子どもの性格と将来を決定する―多くの親がこの「子育て神話」を頭から信じこみ、“良い親”を演じようと必死になっている。だが、この子育て神話は、実は学者たちのずさんで恣意的な学説から生まれた、まったく根拠のないものなのだ。古今東西の愉快なエピソードをまじえつつ、心理学・人類学・霊長類学・遺伝学などの最新研究を駆使して、子どもの性格形成の本質に迫る革命的育児論。
目次
「育ち」は「環境」ではない
子育て神話はどう生まれ、どう育まれたか
生まれか、育ちか、それともいずれでもないか
別々の世界
別の時代、別の場所で
人間であるということ
「われわれ」と「彼ら」
子ども同士のかかわりの中で
文化を伝える
ジェンダー論〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
moshi
12
子どもの性格の形成にあたって、親って実はそんな重要じゃないよーという話。タイトルからして軽い内容の本だと思ってたら、各方面の研究を駆使して論理展開されたかなりしっかりした本だった(500ページ2段組)。著者によると子どもの性格を決定するのは親じゃない、仲間だと。母親がいなくても仲間がいたチンパンジーは社会適応できるが、母親がいても仲間がいなかったチンパンジーは社会適応できないらしい。なんかわかる。自分をどんな集団の一員とみるかによって性格は変わる。どんな人的環境の中で育つのかって大事。おもしろかった。2023/10/05
スイ
9
「社会化とは大人が子どもに施すものではなく、子どもたちが自分自身に施すものなのだ。」 子供の人格形成に家庭の子育ては関係ない、という衝撃的な本。 兄弟の生まれ順と性格に関係があるという有効な実験結果などない等、家庭と子育ての神話を丹念に潰していく。 いかに多くのことが無根拠に、しかしまことしやかに語られているのかに唖然とする。 調査実験の条件やサンプル選出法の罠についても細かく書いてあり、子育てとは別にそちらも面白かった。 2018/01/30
kitten
8
図書館本。子育ての話だったが、英語の学術論文をそのまま日本語に訳したような文章で、非常に難解、かつ冗長。読み続けるのは辛い本だった。ただ、内容は刺激的。「私たちの思い通りに子供を育て上げることができるという思い込みは幻想にすぎない」子育てにおいて、親の役割は世間一般で信じられているよりも、はるかに限定的であって、半分は遺伝によるし、残りの半分は環境による。「子供の仲間」が大事だという話だけど、じゃぁ、どうしろっつうねん。となる。子育て情報に振り回され過ぎないことが重要、かな。2020/12/29
GASHOW
8
子育てという言葉はあるが、子供の成長に親ができることは社会が思うよりもずっと少ない。子供が幼い時に家が貧乏すぎないことと。子供が何かを成功した時だけ褒めることさえしなければ、こどもは子供たちから学ぶ。性格については、遺伝子の割合が高い。子供が優秀だった場合の親にいえることはたまたまだということだ。2017/12/19
るき
5
孟母三遷の教えは正しいってことかしら。家庭より同じ分類(数が少なければ子ども同士、数が多ければ性別、年齢など )の集団の影響が大きいという話。同性カップルや養子の家族が出てくるのがアメリカらしい。『蝿の王』の考察が一番面白かった。毒親に対する批判も。ちょっと今では古くなってるな~という部分もあるが、おおむね面白かった。2017/10/22