内容説明
記録的な嵐の近づく夕方、精神病院からひとりの男が脱走した。彼の名前はマイケル・ルーベック。数カ月前、さる女性の証言によって、殺人事件の犯人と判決を下された男だ。脱走の目的は、その女への復讐を果たすためにちがいない。吹きすさぶ嵐の中、彼女をルーベックから守るため、三人の男が立ち上がった。ひとりは、懸賞金目当ての元警官。ひとりは、ルーベックの主治医。そして、もうひとりは、彼女の夫。それぞれの思惑を胸に、追跡を開始した三人だったが、ルーベックはことごとく彼らの裏をかきながら、少しずつ、女が住む家との距離を縮めつつあった。だれかルーベックを止めることはできるのか―やがて、嵐がピークに達したそのとき、ルーベック脱走の本当の目的が明らかにされ始めた…。不倫、殺人、嘘、裏切り―さまざまな人間の行為と思いを交錯させながら、注目の気鋭ジェフリー・ディーヴァーが、あなたの眠れぬ夜に捧げる、戦慄のサイコ・サスペンス。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
クロ
7
ジェフリー・ディーヴァーのかなり初期の作品。 嵐が近づいてくる夜に、精神病院から殺人犯マイケル・ルーベックが脱走した。裁判の証言に立った女性のもとへと向かうために。そのマイケルを三人の男たちがそれぞれ目的を持って追跡する。物語全体を不穏な空気が漂い、背筋をぞくぞくさせるところはさすがだ。しかし、真相はこういうことではないかなって読めてしまった。精神を病んだマイケルの描写が怖かったし、そしてうまい!2017/06/06
へたれのけい
7
多数の登場人物の、状況設定やら想いやらを読むのはきつかったな。はよう、話の本筋を進めんかい!と突っ込みを入れながらの読書。そんな自分の愚かさに最後に気付く。 ただ、誰一人好きになれるキャラは登場しなかった。2014/09/02
AMBER
6
「ほっほぉぉ~この頃からもはやディーヴァーらしさがでてたんですねぇ~」と最後の方でフッフッフーと喜びを噛み締めちゃいましたよ。いやぁ~なかなか面白いですね。お馴染みになってる色んな事を織り混ぜて、最後に「ドォーン!」と事実を突きつけてくる感じがやっぱりいい。いい意味で読者を騙して楽しませてくれますね。今回はサイコサスペンスで精神障害者の人物設定が凄い!彼のキャラとうちに潜めてる謎めいたメッセージが重大な意味を持つとは思わなかったわ。2015/10/27
あやこ
6
追う者・追われる者、裏切り、殺人、不倫、友情などさまざまな人間関係の行為と憩いが交錯しながら衝撃クライマックスへ向かうサスペンス。人物造型の巧みさ、リアルで立体的なキャラをリアルに想像できる。映画で観たいな。精神障害者の心理構造の描き方が素晴らしい。2010/12/04
Sugi Takahiro
5
殺人事件の犯人として精神病院に収監されてるマイケルが、ある日脱走して自分を有罪にした裁判で証言をしたリズのもとへ向かう。復讐のためとみられ、担当医・元警察官・リズの夫の3人がそれぞれの目的のもとにマイケルを追う。事件の真相は何だったのか、マイケルの真の意図とは、リズの秘密とは何なのか。。。 今回は犬による追跡が出てきて、これまた面白い知識が得られた。追う側・追われる側の異なる視点による描写が臨場感を掻き立てる。分厚い本だがあっという間に読んでしまった。2014/08/20