ヴェネツィア幻視行

ヴェネツィア幻視行

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  • サイズ B6判/ページ数 238p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784152076151
  • NDC分類 933

内容説明

皇帝ナポレオンに憧れて入隊した青年と、男装してカジノで働く美女が恋に落ちた―。この世ならぬ愛と情熱と狂気の物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

264
原題は"THE PASSION"。"passion"は、情熱、激情だが、受難の意味もある。アンリの幽閉をキリストの受難になぞらえるといった単純な暗喩ではないが、しかし小説の底流にはその意味が潜んでいるだろう。さて、その物語だが、まことに掴みどころがない。「鵺」というと、夜や暗闇を連想させるので、「水」といえばいいだろうか。時には煌き、また時には流れ去る。そして、実態はあるといえばある、といったところか。しかし、幻想小説というわけでもない。名付けるなら、この作品固有のジャンルを必要としそうな小説だ。2016/08/11

まふ

105
英国人の書いたフランス人とイタリア人の物語。ナポレオンの召使として可愛がられたアンリがモスクワから逃げ延びる途中で足に水掻きがあるが心臓のない(!?)ヴィラネルと知り合い恋仲になる。二人はヴェネツィアまで辿り着くが…とこれからヴェネツィアでの幻想的な展開を期待するものの平凡な結末となりフラストレーションが溜まった。水掻きはどうなったのだ、心臓を簡単に元に戻してあげたりして、それぞれの「小道具」の必然性が見つからない。「何が言いたかったのか?」タイトル・内容ともに大いに期待の外れた一篇だった。G1000。2023/09/01

ケイ

86
私にとって不可解な作品。原題が「the passion」なのに、訳題がこうなってしまうことがまず。前書き(誰の手によるもの?)が期待を高めたのもある。アンリがナポレオンに傾けているはずの情熱もよくわからないし、ヴィネラルの失くしたはずの心臓の話も。ヴェネツィアに水掻きのある美女の生まれる理由も…。所々に美しい表現はあるけれと、ナポレオンについてもヴェネツィアについても描きかたが中途半端に思えた。女に愛される体格でないアンリが同性愛者の女性とすれば、心臓のない女なら愛してくれると思ったのではないかと考える。2017/03/05

NAO

57
ナポレオンに心酔した男と、ヴェネツィアの申し子ともいえる女性の奇妙な恋愛物語。ナポレオンにどこまでも彼についていこうという情熱を持っていたアンリと、自らの運命さえも賭博の対象にするような奔放な情熱につき動かされて生きていたヴィラネル。二人は、それぞれの情熱が萎んだ状態のときに出会い、恋に落ちている。二人にとっては、何かに情熱を注いでいることこそが大切だったのだろう。そのヴェネツィアに帰り着いたとき、ヴィラネルの気持ちがアンリから離れてしまった当然のことだったのだろう。2023/02/10

Ryuko

26
ヴェネツィア幻視行というタイトルなのに、冒頭からナポレオンに仕えるアンリの話が続き面食らう。原題は The Passion でイギリスの作家さんの作品であった。2章はヴェネツィアで生まれたヴァラネルのお話。以降は2人が交代で物語を紡いでいく。心臓を取り戻すなど不可思議なエピソードもあり、マジックリアリズムなのかな。奇妙なお話でした。「わたしは物語を話しているんだから。安心しなさい。」2020/04/10

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