カルテット

カルテット

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  • サイズ B6判/ページ数 233p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784152033710
  • NDC分類 933

内容説明

1920年代、ジャズの鳴り響く黄金時代のパリ。冬霧に濡れたモンパルナスの石畳に、紫煙たなびくカフェに、アールデコの衣裳をまとった人々が群れ集う。そんな華やぎをよそに、ひっそりとパリに流れてきた女マリヤは、ある日突然ささやかな安寧をも奪われた。ポーランド人の夫ステファンが、美術品窃盗の罪で逮捕され、刑務所に入れられたのだ。そこへ手を差しのべてきたのは、同じ英国人のハイドラー夫妻―パリの芸術家のパトロンとして有名だった。マリヤは夫妻の自宅へ引き取られ、カフェへ、ナイトクラブへ、三人で繰り出す夜が続いた。やがて、ハイドラーがマリヤに言い寄ってきた。はじめは拒絶して出て行こうとしたマリヤだが、夫の浮気を黙認する妻ロイスに引きとめられ、よるべなさについハイドラーに身をまかせてしまう。そして引きずりこまれていく愛の罠―。ジェイムズ・アイヴォリイ監督が惚れこんで映像化した、英国女流作家の秀作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

jamko

5
『20世紀イギリス短篇選(下)』で気になったジーン・リースだが本作読んで改めて凄いと思った。流され転落していく女の孤独にどうしてこんなに揺さぶられるのか。弱さは罪だろうか。転落は自業自得だろうか。読みながらふと連想したのは今話題のダルちゃんだったり山岸凉子『天人唐草』だったりする。そういうフェミニズム視点の批判を感じる作品だからこそ、この作品が世に出たのが1928年だってことに驚きを禁じ得ない。さらに稀有だなと思うのは、マリヤは少なくともこの時代において主役になるタイプの人間ではないこと。→2018/01/25

tekka

2
読み手を選ぶタイプの小説だが、自分にはハマった感がある。精神的に余裕がある状態でないと、読み進めるのは少々しんどいかもしれない。2022/06/11

ムチコ

1
そして彼はまた繰り返した。「われわれは体裁をつくろわねばならん、ゲームを演じなければならないのだよ」2019/02/13

takeakisky

0
カルテットというタイトルから想起する連帯感や安定感とは縁遠い。薄くて硬くて、しかし壊れやすい。不安と孤独とに満ちたストーリー。ストレンジャーの感じる心許なさと疎外感に貫かれた世界。無力感。サルガッソーより現代に近く、都市の話なのでなおさら身につまされる。けれども、このくらいの分量だと却って読みやすい。先に読み始めた「あいつらにはジャズって呼ばせておけ」は辛くてなかなかすすまない。2022/04/29

ゼリーバンバン

0
Wikipediaの岸本佐知子さん訳書の欄に一番古いものとして記載があったので読んでみた。 内容はあまり好みではなかったけれど、ぐいぐい読むことができ、岸本さんはすごいなと思った。(アホの感想) 後ろの紹介文が岸本さんではなく、別の人が書いたものでちょっと残念だった。2022/01/05

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