感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆのん
53
7作から成る短編集。壁を抜ける男や1ヶ月に2週間しか生きられない男、分裂する女などなど不思議な話で非常に面白かった。改訂版とは言えその初版は昭和51年だが翻訳も読み易かった。作者は『見た事聞いた事』しか書けない『無能なジャーナリスト』で非常に寡黙な人物だったらしい。この短編集は現実では起こりえないものばかりで幻想的である。日頃の作者の頭の中には認知されていた人物像とは真逆のアイデアで溢れていたのかもしれない。2018/10/21
きゅうり
7
不思議な話の短編集。壁をすり抜けたり、欲望のままに分裂したり、人生が配給制になったり、絵画を眺めるだけで栄養補給できたり。突拍子もないことが起こるんだけど、文章はいたって淡々と論理的に登場人物たちの思考感情を描く。まったく不思議な感じ。2016/05/22
のんの
0
他図書館からのお取り寄せで読むことができた本。分裂していく女性の話、絵で栄養が取れる話と本の状態は、ページの色も茶色く変色して、古本という感じだったのに、内容は斬新なものが多くて、びっくりした。2016/10/10
竜王五代の人
0
第二次大戦中・直後のフランスの、食糧不足と圧制の陰鬱な雰囲気が感じられる作品が多い。そんな中でも、婚外恋愛の話がいくつもあるのがフランスらしいと感じる。藤子・F・不二雄の「少し不思議」のような題材でありながら、話が向かう先が異なるのがこの作家の味なのだろう。担ぎ屋が牡羊顔(悪魔の暗喩?)の男に良識を弄られる「パリ横断」は味がキツイ。貧しい母子家庭と変人な古物商の「七里の靴」は割と普通のよい小説だった。2021/02/19
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- 和書
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