内容説明
22年前の夏に起きた、女子大生ソリムの殺人事件を再捜査する捜査一課の刑事ジヘ。ドストエフスキーの読書会メンバー、かつてソリムが家庭教師をしていた少年、英会話スクールの講師…疑わしき人物が次々と捜査線上にあがる。被害者のマンションの防犯カメラに映っていた男は一体誰なのか?そして真犯人はうそぶく、「ぼくは病んだ人間だ」。犯人とソリムが犯した罪と、その罰とは。現代の韓国を舞台に展開する警察小説。
著者等紹介
チャンガンミョン[チャンガンミョン]
1975年、韓国・ソウル生まれ。新聞社の社会部に勤務した後、2011年に長篇『漂白』でハンギョレ文学賞を受賞し作家デビュー。『熱狂禁止、エヴァロード』(2014)で秀林文学賞、『コメント部隊』(2015)で済州四・三平和文学賞および今日の作家賞を、『朔日、あるいはあなたの世界の覚え方』(2015)文学トンネ作家賞を受賞。文芸作家として第一線で活躍している
オファスン[オファスン]
東京都生、翻訳家
カンバンファ[カンバンファ]
岡山県倉敷市生、翻訳家、翻訳講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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azukinako
39
上巻はややまったりした感じだったが後半の怒涛の展開にはびっくり。そういえばこれはミステリーであり警察ものだった。犯人のモノローグがドストエフスキー、カミュ、ヘッセなど文学から哲学の話、はては現代の法や社会のシステムへの批判と広がるが、いやでも結局人を殺しているんじゃないか?それは邦題につながっていくのかと思いながら緊張感は途切れずラストまで一気読み。動機がもやる。2025/03/16
ばんだねいっぺい
27
個人的には、時々のモノローグが妙味ではあるが、◯◯だったが、犯人の特異な人間性を描くために必要な仕掛けなのだろう。なんとなく、すっきりとした印象の下巻。韓国の警察の内情を知りたい人にはよい小説だ。2025/02/14
マヌヌ2号
6
結局のところ、ラスコーリニコフのように、殺人を正当化する試みは失敗に終わるのだ。人は、罪悪感の重みに耐えられるようにはできていないのだ。本作の犯人は、殺人を正当化するためのシステムを自分で組み立てたが、この新啓蒙主義なるシステムは、あくまで個人の自己正当化という目的意識を脱せず、犯人の語る理念通りの運用はなされなかったように思う。ぼくには、設問の立てかたに誤りがあったとしか思えない。あなたは、地下生活者でもスタヴローキンでもなくて、ロゴージンだった。新たなシステムもムイシュキンも、あなたを救えなかった。2025/04/10
hibeQ
4
読み終わってから大分時間が経ちレビューしてなかったんですけど。 下巻も面白かった! もう下巻買ってから一ヶ月以内に読んでしまいました。 本当におすすめです。 個人的に思うのが、この作品はドストエフスキーだけではなく、アガサクリスティや村上春樹さんが、好きな作家さんだなと思いました。 主人公ジヘさんのこの物語、シリーズ化して欲しいくらい、この主人公ジヘさんが好きです。 先輩刑事もいいキャラクターですし、正直この作品だけなんて勿体無いと思います。 続編ぜひ書いて欲しいです。 2025/05/20
jam
4
紛らわしいタイトルだが、もちろんドストエフスキーからとったタイトルで、ドストエフスキーの作品がストーリーにかなり絡んでくるのだが、読んでいなくても問題はないと思う。正直かなり長いしまどろっこしいところはあるが、終盤の展開が怒濤で読み応えがある。2025/02/08