ハヤカワ・ミステリ文庫<br> 哀惜

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ハヤカワ・ミステリ文庫
哀惜

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  • サイズ 文庫判/ページ数 592p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784151853012
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

海岸で発見された男性の死体。彼の死に隠された真相とは? 小さな町に起きた奇妙で複雑な事件に、刑事マシュー・ヴェンが挑む。

内容説明

イギリス南西部の町ノース・デヴォンの海岸で死体が発見された。捜査を行うマシュー・ヴェンは、被害者は近頃町へやってきたサイモンというアルコール依存症の男で、マシューの夫が運営する複合施設でボランティアをしていたことを知る。交通事故により子供を死なせたことで心に病を抱えながらも、立ち直ろうとしていた彼を殺したのは何者なのか?英国ミステリの巨匠が贈る端正で緻密な謎解きミステリ。

著者等紹介

クリーヴス,アン[クリーヴス,アン] [Cleeves,Ann]
1954年、イギリス西部ヘレフォードシャーに生まれ、その後ノース・デヴォンへ移り住む。1986年にA Bird in the Handで作家デビュー。2006年に“ジミー・ペレス警部”シリーズの第一作『大鴉の啼く冬』で英国推理作家協会賞最優秀長篇賞を受賞。2017年に英国推理作家協会賞ダイヤモンド・ダガー賞(巨匠賞)を受賞。2020年には本作『哀惜』でアガサ賞最優秀長篇賞を受賞する。英国ミステリ界の巨匠として、国内外から高い評価を受けている

高山真由美[タカヤママユミ]
青山学院大学文学部卒、日本大学大学院文学研究科修士課程修了、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

W-G

284
結構な長さに躊躇していた新シリーズ。『マーダー・ミステリ・ブッククラブ』に日本で未訳のシリーズの名前がちらっと出てきたので、気になってついに読んだ。ペレスとはだいぶテイストの違う主人公マシュー・ヴェンの造形。タイプとしてはペレスより好きかもしれない。街の景観や人物の背景など、アン・クリーヴス作品には"丁寧"という表現が用いられることが多い。低体温で起伏が少なく感じてしまうことと表裏一体でもあり、アベレージは高く保っても、突出した傑作も出てきづらい印象。今後の展開で驚かせてくれることを期待したい。2024/01/18

ケイ

121
シェトランドシリーズの最後と思って入手したら勘違い。新シリーズの第一作でした。主人公の刑事が変わり、昨今の社会問題を反映した登場人物たち。しかし、女性が男性カップルを描くと、どうも女性性が強く出てしまっているように感じる。所謂男らしさを待った性質で男性のパートナーがいる人もたくさんいるんだろうにな、とそこが一番マシューで気になったところ。犯人は、なかなかわからなかった。ミステリとしての良さはシェトランドの後半より好きかも2023/07/06

タツ フカガワ

109
イギリスの小さな町で起きた男の刺殺事件。その後ダウン症の女性が行方不明になるが、二人は同じ施設に関わっていた。捜査主任の警部マシューは熱心な信仰を持つ家庭で育ったが、大学生のときに信仰を捨て、さらに同性婚をしたことで両親とは断絶状態。もう一人の刑事ジェン・ラファティはDV夫から逃れて子供を育てるシングルマザー。主にこの二人の目を通して描かれる物語は、各登場人物の心の動きがとても丁寧に描かれていて、それが物語に奥行きを与えているようで、読むほどに手が止まらない。名人芸ともいえる上手さに酔った一冊でした。2023/04/27

yukaring

103
決して派手さはないがロジカルな展開、それぞれ精一杯生きる等身大の登場人物達に好感が持てる謎解きミステリ。田舎町の海岸に放置された男性の死体。彼は子供を死なせた事で心に病を抱えていたが、立ち直ろうとしていた矢先に殺されてしまう。時を同じくして拐われる若い女性達。犯人の動機が全く見えずに難航する捜査。登場人物達のキャラクターがとてもよく、特に複雑な過去を持つ主人公マシュー・ヴェン警部の高潔な人柄が魅力的。部下達もいい意味で人間らしく悩みや思いもとてもリアル。緻密なミステリと巧みな人間描写の融合が絶妙だった。2023/05/10

ナミのママ

89
刑事マシュー・ヴェンシリーズ1作目。イギリスデヴォン州、ケルト海に面したノースデヴォンが舞台。今作も巻頭から丁寧な情景描写が続くので画像・動画で調べてから読み始める。作者特有の狭いコミュニティでの事件、絡み合う人間関係。この狭い土地で何故に続けて事件が?と思わなくもないけど。主人公のマシュー警部はLGBTQで家族と暮らしている。とにかく殺人事件がどんどん膨らんで、登場人物の過去も加わり飽きさせない、一気読みの577ページ。持ち歩くには分厚い…。【2019年度アガサ賞最優秀長篇賞】受賞2023/03/27

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