出版社内容情報
地下鉄で拘束された張弁護士のスーツケースには江検察官の遺体が入っていた。犯行を認めていた張は法廷で突如無罪を主張して……。
内容説明
地下鉄の駅で爆弾騒ぎを起こした男のスーツケースから元検察官・江陽の遺体が発見された。男は著名な弁護士・張超で、自分の教え子だった江陽の殺害を自供する。だが初公判で、張超は突然自供を覆し、捜査は振り出しに。警察は再捜査を進める中で、死んだ江陽が12年前の溺死事件を追っていたことを知る。それは、社会を覆う巨悪と、信念を貫く検察官との壮絶な闘いの記録だった…。社会派ミステリの傑作。
著者等紹介
紫金陳[シキンチン]
中国の作家。1986年、浙江省寧波市生まれ。浙江大学治水工学科卒。大学在学中からインターネットで小説を発表する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
315
『悪童たち』に続き読んでみた。こちらの方が好きかも。インパクトのある冒頭から、そこに至るまでの経緯がカットバックで描かれ、それぞれのパートに読みごたえがきちんとあって退屈することなく一気に読み終えた。厳良をシリーズキャラにして登場させた意味はあまりないかもきれないが、そこはまぁどちらでも良いところ。ラストのあたりで急に巨悪の存在が明らかになるのは少し違和感あったけれども、下敷きとなる事件が実際にあったらしく、それを知っていて読めば、また印象が変わったのかもしれない。一作目は刊行されるのかな?2024/08/27
モルク
111
先月「悪童たち」を読み、とても面白かったので引き続き本書へ。地下鉄の駅で泥酔した男が騒ぎを起こし彼の持つスーツケースの中には元検察官江陽の死体が…男は著名な弁護士で江陽の師張超だった。なぜに…。12年前のボランティア教師溺死事件とどう繋がるのか。溺死事件の裏に何か大きな力が関わっていることを突き止めた江陽。何度も跳ね返されながらも信念を貫こうとする。そして権力者の悪に立ち向かい真実を暴くためにたてた大きな策略は…いやー、凄い!中国名は難しいがわかりやすい文章で一気読み。他の作品も探してみよう!2025/04/19
yukaring
92
圧倒的なリーダビリティと魅力的な謎。信念を貫く若き検事と社会を覆う巨悪との戦いの記録に引き込まれる華文ミステリ。地下鉄の駅で爆弾騒ぎを起こした男と彼のスーツケースから発見された男性の全裸死体。彼は有名な弁護士の張超で遺体は元検察官の江陽である事が判明。張は元教え子である江を殺したと自供するが裁判では一転して無罪を申し立てる。それも鉄壁のアリバイと共に…。なぜ彼はこのような不可解な事件を起こしたのか?警察の再捜査により見えてくる江陽の壮絶な人生と中国の現体制の闇。ずっしりと読み応えのある社会派の傑作だった。2024/04/23
ナミのママ
80
〈推理之王シリーズ〉3部作最終作品。漢字が苦手な華文ミステリーだがこれからもっと読みたくなるほど面白かった。地下鉄駅構内での捕物帳、開いたトランクからは死体。それだけでインパクトある事件なのに初公判で「殺人を犯していない」と発言すれば大騒ぎに。この事件の再捜査には10年以上前からのある出来事が関わっている。現在と過去と交互に書かれたストーリー。打たれても立ち上がり、諦めることのない男たち。中国国内の現実の事件を知っていればもっと深く読み取れるのかもしれない。2024/02/07
オーウェン
59
張弁護士がスーツケースを引いて駅にやってきたが、その中には江検察官の遺体が。 張は一旦は犯行を認めるが、裁判になると一転無罪を主張。 余計な描写がなく、あっという間に引き込まれていく。 なぜ無罪を主張するのか。 ここから過去に入っていき、江検察官が取り組んでいたある事件の回想が。 だからそうなのかという納得をさせると同時に、スリリングな社会派の面も兼ね備えている。 特に作者の自国である中国批判は鋭く、よく描けたなと関心する。 中国ほど政府批判を許さない国はないのだから。2024/08/10
-
- 和書
- 失せ物屋お百 ポプラ文庫