出版社内容情報
奇怪な密室で殺された作家。曰くありげな人物たちが織り成す事件の真相は? 名探偵ツイスト博士が快刀乱麻を断つシリーズ第二作
内容説明
内側から錠が掛かった書斎で、著名なミステリ作家が煮えたぎる鍋に顔を突っ込んで死んでいた。しかもその傍らの料理は出来立てなのに、遺体は死後二十四時間以上経過していたのだ。さらにこの異様な密室状況は、作家が構想中の新作『死が招く』の設定そのままだった…曰くありげな容疑者たちが織り成す奇怪な殺人ドラマを犯罪学者アラン・ツイスト博士が解き明かす!本格探偵小説シリーズの第二作。
著者等紹介
アルテ,ポール[アルテ,ポール] [Halter,Paul]
フランスの作家。1955年生まれ。幼いころから英米ミステリの古典に親しみ、ジョン・ディクスン・カーの作品に強い影響を受け、作家を志す。1987年に『第四の扉』で作家デビュー、コニャック・ミステリ大賞を受賞した。翌年『赤い霧』では冒険小説大賞を受賞。日本でも『本格ミステリ・ベスト10』海外部門で3年連続で年間1位を獲得するなど、高い評価を受けている
平岡敦[ヒラオカアツシ]
1955年生、早稲田大学文学部卒、中央大学大学院修士課程修了、フランス文学翻訳家、中央大学講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
71
奇妙な手紙により招かれた先には、豪華なディナーを前に手と顔を焼かれた死体。本作は著者にしては怪奇趣味は薄めだけど、顔の無い死体や双子といったトリックを前にどこか懐かしい気持ちになれる。こういうトリック最後に目にしたのは下手したら乱歩正史の時以来だし。あと主に警官の視点とそれ以外の視点を軸に物語は進んでいくのだけど読み終えた時には、ああだから斯様な構成が必要なのか。と膝を打ちました。というかクリスティのある作品を連想させられ、情報の出し方が本当に上手いなと思ったり。ただ総じて完成度は高く一気読みでした。2023/04/02
yukaring
63
犯罪学者ツイスト博士が活躍する第2弾。「フランスのディクスン・カー」と言われるポール・アルテだけあって密室殺人や人間消失の謎、墓地の幽霊などカーの怪奇主義をうまくオマージュ。物語はミステリ作家が密室で煮えたぎる鍋で顔を焼かれた死体で見つかる。机の上には今だ湯気の立つご馳走が並んでいるが死体の死亡推定時刻は24時間以上前。誰がなぜ、死体を前に奇妙な舞台を整えたのか?そして密室からどのように消え失せたのか?曰くありげな登場人物たちの不審な行動や過去の事件とのシンクロ、驚きの真相も含めて完成度の高い1冊だった。2023/01/12
ケイジ
22
出来たての食事の中に倒れ込んだ死体など魅力的な謎を散りばめた推理小説。最近よくある過去パートと現在パートが交互に書かれるお話よりずっと読みやすい。探偵も落ち着いていて好感が持てます。2023/01/29
タッキー
15
ディクスン・カーの匂いのする作家。読んだのは『第四の扉』に続き2つめ。正統派密室の謎。密室の中で顔と手が焼け爛れた死体。傍にはなぜかできたての料理が。犯人は何のためにできたての料理を用意したのか?という魅力的な謎。でも正直密室のトリックは、残念ながら、鍵の仕組みがわからず、正直トリックを読んでもよくわかりませんでした。図解でもあればいいのですが。でも、犯人は意外性があり、まあまあおもしろかったかなぁと思います。2022/09/17
J・P・フリーマン
11
密室の書斎でミステリ作家が死んでいた。その手と顔は煮えたぎる油が入った鍋の中で焼かれ、死後24時間は経過しているのに死体の周りにはまだ温かい料理が並べられていたというミステリマニアなら垂涎の状況で殺人事件が起こる。無駄な描写はなく事件解決に一直線に進んでいくのでストレスなく読み進められました。古きよき黄金時代を感じさせる一冊でした。2023/01/17