出版社内容情報
かけがえのない友だった。25年後、容疑者と治安官という立場で二人の運命は交錯する。
内容説明
ホラー小説好きの内気な少年ラリーと、野球選手になれそうなほど才能ある少年サイラス。まったくちがう二人が育んだ確かな友情。が、ある出来事を境に関係は断絶した。25年後…自動車整備士になったラリーは、住人から疎外され、孤独の中で暮らしていた。そんな時、町の有力者の娘が失踪。ラリーに疑惑の目が向けられ、治安官になったサイラスは事件の捜査に関係していく。かつての友との再会がもたらすその先には…英国推理作家協会(CWA)賞ゴールド・ダガーとLAタイムズ文学賞を受賞
著者等紹介
フランクリン,トム[フランクリン,トム] [Franklin,Tom]
1963年、アラバマ州ディキンソンに生まれる。サウス・アラバマ大学卒業後、アーカンソー大学で芸術修士号を取得。1999年に短篇集『密猟者たち』でデビューし、表題作でアメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞最優秀短篇賞を受賞。2010年発表の『ねじれた文字、ねじれた路』は、英国推理作家協会(CWA)賞ゴールド・ダガーとLAタイムズ文学賞を受賞した
伏見威蕃[フシミイワン]
1951年生、早稲田大学商学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ナミのママ
61
「神さま、お願いです。ひとりだけ、ぼくに本当の友だちをあたえてください」なんと悲しくも胸に響く祈りだろう。1980年前後、友達付き合いが苦手な白人少年ラリーと貧困母子家庭の転校生で黒人のサイラス。人種差から人目をさけ密かに遊び、ある事情から離れ、25年後に再び交わる運命。生きることに優等生でない2人が等身大で書かれていて、わからないはずの心境が想像できてしまう。このあと25年後、2人はどうなっているのだろう。【2011年CWAゴールドダガー賞】【ロサンゼルス・タイムズ文学賞】2024/07/10
やきいも
59
心の奥に深くしみこむミステリーです。2011年の英国推理作家協会の最優秀長編賞受賞。ハイスクール時代に少女誘拐の容疑をかけられて孤独になったラリー。そして約20年後、また少女の誘拐事件が起きて再びラリーに容疑がかかる。一方、ラリーの同級生で親友だった警察官ライナス。彼もハイスクール時代の少女誘拐事件に関して人に言えない秘密をもっていた。途切れていた2人の友情はよみがえるのだろうか...。読みやすいが文章は美しい。ラリーの孤独を描いた箇所は泣けた。トリックより人間ドラマに光をあてた作品。名作です。2015/02/21
あっちゃん
27
ホラーを愛する内気な少年と野球が上手い活発な少年、一時期は仲が良かったが、ある事をきっかけに離れてしまう!大人になった二人は容疑者と対するものとで再び交差する!ミステリーというほどでもなく、読みづらく、驚きの展開もない、更に泣くほどの感動もない!でも心の奥に切なさとノスタルジーの残る私的には傑作!2017/06/01
Kazuko Ohta
24
ミステリーのはずなのに、ちっともそれらしく話が進みません。だけどなんとなく没頭させられるのは何故。ラリーはある事件の犯人かと疑われたまま25年。同様の事件が再び起きる。町の保安官はかつての友人サイラス。人種について何も考えずに読んでいたから、ラリーが白人、サイラスが黒人とわかったときには結構な衝撃。一見のどかな日常に偏見や差別がはびこっているゆえ、人前で友だちだとは言えなかったラリーとサイラス。いつしかふたり共の心に寄り添いたくなっている。純粋で、読後感のとても良い作品です。いい本を読んだ、そう思えます。2018/10/24
goro@the_booby
23
友達だった白人と黒人の少年。ねじれたしまった路の先に辿り着く真実。謎解きを楽しむ物語ではなく、何と表現したら良いのか二人の物語です。「もしもあの時・・・」は元に戻せない悲劇を生み孤独を背負いながらも訥々と人生を歩むラリー。誰にも理解されず・・・。ミシシッピーの片田舎での人生模様。幸せになれよと本を閉じた物語。2015/09/01