内容説明
心臓を刺されて死んだ若い男。警察署の“身元不明死体の廊下”に張り出されていた写真の一枚に、わたしは弟を見つけた。美貌の女装歌手として愛されていた弟はなぜ殺されたのか?絶対に殺人犯を突き止める。そう決意してひそかに調べはじめたものの、わたしの息子だと主張する謎の幼い少年が現われたことにより、社会の裏にうごめく様々な思惑と対峙することに―。ナチス政権前夜のベルリンに展開する慟哭のミステリ。
著者等紹介
キャントレル,レベッカ[キャントレル,レベッカ][Cantrell,Rebecca]
ベルリン自由大学およびゲオルク・アウグスト大学でドイツ語や歴史などを学んだのち、カーネギーメロン大学を卒業。テクニカルライターを経て、『レクイエムの夜』でデビュー。夫と息子とともにハワイに在住
宇佐川晶子[ウサガワアキコ]
立教大学英米文科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
GaGa
39
1931年のナチス政権誕生二年前のドイツが舞台のサスペンス。激動一歩手前の状況が食料の価値や、輸入品の贅沢思想を憎むなど、背景がしっかりしていることから、確信部分の退廃した雰囲気も伝わりまずまずの面白さ。主人公のキャラクターもいい。正直ストーリーに新味はないので新鮮さには欠けたが、解説に書かれていた次回作は設定が突飛で面白そうだ。次も出たら読もう。ただ邦題の意味は読み終えても判らなかった。2011/02/21
なにも
5
ハンナがすべてを擲ってでも守りたかったアントン。どうか幸せになりますように。家族とは、こんなにも無償で愛せる存在なのか。2020/09/19
himehikage
2
一応サスペンスフルな歴史ミステリであるわけだが、あまりそういう印象が残らないのは、謎の幼い少年アントンの存在。この子が、やることしゃべることいちいち大人たらしで、可愛いくてたまらん。ハンナとアントンの関係は、映画「グロリア」を思い出させた。2015/01/04
ymg
2
ナチス政権誕生前のドイツが舞台で同性愛を絡めたサスペンス。テンポ良く読め面白かった。2011/04/10
はんぺん
2
女おひとりさまが、最愛の弟を殺した犯人を追う!というお話。犯人探しの部分よりも、あの時代のドイツで、女性がたった一人で生き抜いていく姿に感動。2010/10/27