内容説明
招待客を装い、パリの名士が催すパーティーに忍び込む路上生活者アントワーヌ。ある日、食物を貪るべく彼は相棒ロレンスとともに富豪の邸へ足を運ぶが、素性がばれてしまった。狂信的な富豪は相棒を監禁し、解放条件にジョルダンという身元不明の男を捜し出せと執拗に迫る。アントワーヌは男を求め、街を彷徨するが、それは破滅への序曲にすぎなかった…型破りな天才的作家がフランスの暗部を抉り出すロマン・ノワール。
著者等紹介
ベナキスタ,トニーノ[Benacquista,Tonino]
1961年、パリ生まれ。1985年に処女作を発表した後も、ピザ屋、鉄道の寝台係、美術館の守衛などの職を転々とする。1991年の『La Commedia des rat´es』でフランス推理小説大賞とミステリ批評家賞を受賞し、高く評価された。翌年、『夜を喰らう』を発表し、フランスのノワールの注目株として話題を集めた。自作を自らけなしてみせるなど大胆な言動も周囲の注目を集めている
藤田真利子[フジタマリコ]
東北大学文学部卒、翻訳家
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感想・レビュー
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harass
66
毎夜パリのどこかで開かれるパーティのタダ酒タダ飯にたかる、無職の主人公は人探しの依頼を強要されることに。予備知識なしに手に入れた本で読み出すが話がぶっ飛んでいき困惑するほど。予定調和を外している。駄目人間たちの描写と台詞が面白い。不親切で説明を省いている作風だが、文学的というのか、これぞおフランスミステリーというべきか。変化球としてなかなか楽しめた。2017/05/09
hikarunoir
10
主人公は変化球で浮浪者。それなりにこのジャンルを読み込んでも内面については、近接し志向しているべきハード・ボイルドより哲学的言及が深い。そして結末も本来のジャンルを生み出した本国より、情緒的で皮肉だ。
三門 優祐
3
思い返したように現れるキレたセリフを楽しむ作品。2010/12/30
himehikage
2
パリの若いホームレスが主人公の探偵もの。文章はとっつきにくいが、いろいろあって成長した主人公がラストに取る行動にしびれた。2009/04/02