内容説明
十セントの古本の山から、数百ドルの値打ちの本を探しだす―そんな腕利きの“古本掘出し屋”が何者かに殺された。捜査に当たった刑事のクリフは、被害者の蔵書に莫大な価値があることを知る。貧乏だったはずなのに、いったいどこから。さらに、その男が掘出し屋を廃業すると宣言していた事実も判明し…古書に関して博覧強記を誇る刑事が、稀覯本取引に絡む殺人を追う。すべての本好きに捧げるネロ・ウルフ賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
162
1997年度の「このミステリーがすごい」の海外版1位の本である。古本の中から、値打ちのある本を探し出す人物が殺され、その謎を追うという設定自体が、今の日本には合わないかもしれないが、人物造形がよく意外に面白かった。特にリタ・マッキンリーという女性の描写がよく、緊迫感を与えてくれる。2010/10/24
ケイ
91
最近初版本探しをしているので、古書がキーとなるこの話は楽しかった。どの作家の値段が高く、あの作品は価値があり…と語られる内容が本筋のミステリそっちのけに気になる。後書きによると、背表紙に古書の価値を問うクイズが載せられ、答えは本書の中に!とあったという。答えは書いていないのでもう一度読まなくてはならないな。前書きの謎ふりで読者をつかまえるが、長い本文も古書のトリビア満載、話は二転三転し、読者に先を急がせる。終わり方も秀逸。最後の最後まで楽しませてくれた。2014/06/14
がたやぴん
83
原文では読めないので翻訳頼み。宮脇氏の訳が良いのかな。表紙のイメージとは違い読みやすい。翻訳でこの厚さで不安だったが一気読み。いわゆる、せどり屋さんが登場する話。希少本や古書店経営の話などこの手のネタに引き込まれないわけがない。近年流行った某古書店の物語とは異なり、ハードボイルドに分類していいミステリ。予想はついたが、伏線回収もしっかりしていて、これなら続編も読んじゃいそう。約20年前の「このミス」海外部門受賞作。また、ネロ・ウルフ賞なるものを知れたのも有り難い。2017/01/17
セウテス
70
古書店主クリフシリーズ第1弾。1997年このミス大賞海外編第1位。主人公クリフは、優秀な目利きの稀少本コレクターである。彼が古書店を開く前、デンバーの警察官だった時に起こった事件の話。日本の古書蘊蓄系の物語は軽めの話が多いが、本作は重厚なミステリ。ハードボイルドとか本格とか分けられない、作者独特の世界観の作品なのが面白い。反面翻訳作品であるのにたいへん読みやすく、現代的な会話に思わず引き込まれる。犯人については、要所毎に的確な伏線が張ってあり驚きとため息。ラストもある意味どんでん返し、何ともセンスが良い。2018/04/02
リズ
67
古書店をまわり、見極めて高値、であるか無いかを地道に探す姿に感銘を受けました。現代はネットの時代ですから、ネットで探した方が早いが、古書店へ行き。手や足を動かし探す、エネルギーはやはり本好きでないと出来ない行動であり、主人公を尊敬します。改めて、本好きの熱意を感じました。2014/09/11