内容説明
1890年9月15日、英国の海辺の避暑地トーキイで、ひとりの少女が誕生した。アガサと名付けられた彼女は、空想好きで内気な少女に成長する。思い出深い子供時代。音楽家を志していた少女時代。電撃的な出会いと結婚。世界大戦。そして、名探偵ポアロの誕生…自らの生涯を数々の興味深いエピソードで語る傑作自伝。
目次
第1部 アッシュフィールド
第2部 男の子も女の子も外へ出て遊ぼう
第3部 成長する
第4部 恋愛遊戯、求婚、結婚予告、結婚
第5部 戦争
著者等紹介
クリスティー,アガサ[クリスティー,アガサ][Christie,Agatha]
1890年、保養地として有名なイギリスのデヴォン州トーキーに生まれる。1914年に24歳でイギリス航空隊のアーチボルド・クリスティーと結婚し、1920年には長篇『スタイルズ荘の怪事件』で作家デビュー。1926年には謎の失踪を遂げる。様々な臆測が飛び交うが、10日後に発見された。1928年にアーチボルドと離婚し、1930年に考古学者のマックス・マローワンに出会い、嵐のようなロマンスののち結婚した。1976年に亡くなるまで、長篇、短篇、戯曲など、その作品群は100以上にのぼる。現在も全世界の読者に愛読されており、その功績をたたえて大英帝国勲章が授与されている
乾信一郎[イヌイシンイチロウ]
1906年生、1930年青山学院商科卒、2000年没、作家、翻訳家
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感想・レビュー
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Kircheis
76
★★☆☆☆ アガサ・クリスティの本は、ロマンス系などの一部を除いて全て読破したので、自伝に挑戦してみた。 上巻では、彼女が生まれてから1度目の結婚、出産辺りまでが記されている。小説家としては、この時点でまだ3作目の『ゴルフ場殺人事件』を書いたところ。 ファンとしては、アガサの生涯や考え方に触れることができる貴重な資料となり得ることから、ぜひ読んでおきたいところではある。 ただしかなりボリュームがあり、中にはどうでもいいエピソードも混じっているので、真のファン以外には勧められないかな。2019/04/11
kaizen@名古屋de朝活読書会
73
アガサクリスティの経験、推測で生まれてくる登場人物たちの原点が、 自伝の中にたくさんあることが分かった。 物語の中の主人公、登場人物と、アガサクリスティの性格の似た点の背景が分かった。 感情移入しすぎずに、たんたんと書かれた自伝は、資料としては貴重だ。 アガサクリスティ解説を書く人には必須の材料だ。 上を読み飛ばしながら進んだので、 アガサクリスティの本を全部読み終えたら、 もう一度、上から読みなおそうと思う。2013/04/29
Willie the Wildcat
54
記憶を楽しむ故の自伝。家族、愛、旅、そして文学。金銭的苦境の中でも、変わらぬ家族の愛情の中で育む文才。音楽や演劇など多様な文化と飛行機搭乗など、母の旺盛な好奇心も才能開花に一助。但し、トドメは姉との論争?!(笑)初めて長編に取り組む苦悩が印象的。一方、旅先で塩を砂糖に入れ替える悪戯や飛行写真の結末などが微笑ましい。三度の婚約を経たアーチーとの結婚に、戦時中の医療従事と執筆への姿勢。生命と時間を再考させたのではと推察。戦後、世界一周が齎す転機や如何に!2015/12/12
yumiha
44
少女時代のエピソードには既視感があった。あれこれ考えてみたら、『未完の肖像』だったのではないか?と思い当たる。やはり『未完の肖像』は自伝的小説だったのだ。いよいよ探偵小説を書くためのクリスティーの手法は、町で見かけた気になる人物や会話などをきっかけに、それを想像で膨らますというもの。時には、歩きながらその人物になり切って、少女時代のごっこ遊びのようにやり取りの言葉をもそもそつぶやいていたのだそうな。う~む。もしそんな人を見かけたら、私は引いてしまうだろうなぁと思った。当時の生活の様子も興味深い。2022/06/18
とも
21
クリスティーの自伝、上巻。子供時代〜恋愛〜結婚〜出産。幼少の頃の経験、看護師など様々な職業などクリスティー小説のベースとなったであろうことがみっちり書かれている。「未完の肖像」などロマンスもの的な味わい。分厚いが全然退屈ではない、面白い。上巻最後の方でやっと執筆を開始する、「スタイルズ荘」「秘密機関」「ゴルフ場」まで。下巻へ。2025/11/01




