内容説明
若妻グエンダはヴィクトリア朝風の家で新生活を始めた。だが、奇妙なことに初めて見るはずの家の中に既視感を抱く。ある日、観劇に行ったグエンダは、芝居の終幕近くの台詞を聞いて突如失神した。彼女は家の中で殺人が行なわれた記憶をふいに思い出したというのだが…ミス・マープルが、回想の中の殺人に挑む。
著者等紹介
クリスティー，アガサ［クリスティー，アガサ］［Ｃｈｒｉｓｔｉｅ，Ａｇａｔｈａ］
１８９０年イギリスのデヴォン州トーキーに生まれる。１９１４年に２４歳でイギリス航空隊のアーチボルド・クリスティーと結婚し、１９２０年には長篇『スタイルズ荘の怪事件』で作家デビュー。１９２６年には謎の失踪を遂げる。様々な臆測が飛び交うが、１０日後に発見された。１９２８年にアーチボルドと離婚し、１９３０年に考古学者のマックス・マローワンに出会い、嵐のようなロマンスののち結婚した。１９７６年に亡くなるまで、長篇、短篇、戯曲など、その作品群は１００以上にのぼる。現在も全世界の読者に愛読されており、その功績をたたえて大英帝国勲章が授与されている
綾川梓［アヤカワアズサ］
慶応義塾大学卒、英米文学翻訳家
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
169
★★★★☆ マープル最後の事件…なのだが、バントリー大佐が生きていることから時系列的には少なくとも『鏡は横にひび割れて』より前となる。マープルが階段を駆け上がったりするところから察するに『パディントン発4時50分』以前と思われる。 本作はクリスティお得意の「回想の殺人」物。当事者の証言等を手掛かりに、過去の事件の真相を探るお話だ。 犯人や動機は割と容易に想像付くが、主役夫婦が魅力たっぷりで面白く読めた。ただポアロ最後の事件『カーテン』と異なり、本作をあえて死後発表にする意味はなかったと思う。2019/04/08
Tanaka9999
101
ミス・マーブルものの時系列として最後の事件らしい。記憶の中の殺人。なかなかいい感じに話が展開する。最後まで読めば、犯人はそのとおりなのだが、途中では全然気が付かなかった。2019/11/15
aoringo
90
ミスマープル最後の事件。ニュージーランドからやってきた新妻は落ち着いた先の家でデジャヴを感じる。そしてあるきっかけで継母が殺されるシーンが頭をよぎり彼女は倒れる。これは妄想か現実か。要所要所でミスマープルは若い夫婦にアドバイスするが、もっと前線で活躍する姿も見たかったかも。「セントメアリミードではね...」で始まるおしゃべりの中から犯人を炙り出すいつもの推理の仕方が大好きだったので。とはいえ異常な犯人の心理は現代のミステリーでも十分通用するだろうし、何よりやはりクリスティは上手くて面白い。楽しめたー!2022/04/22
NAO
83
結婚を期にイギリスに移り住むことになったグエンダが夫に新居探しを任され一目惚れした家を購入したことから起きた事件。過去の眠ったままの事件など興味本位で掘り返すものではない。自分にはそんなつもりはなくても、それに触発されて再び何かが動きだす。という、ミステリによくある話。グエンダ夫妻の調査と推理が主で、そこにミス・マープルの調査と推理が加味される。猪突猛進型のグエンダたちと、噂話から情報収集するミス・マープルの調査の対比が読みどころ。2021/07/25
キムチ
72
先月、ヒクソン版で見てた。やっぱりこの作品に用いられる心理描写の技巧の巧みさは凄みがあると再確認。もっともドラマでは設定がいじられているものの、若妻が何気ない日常の恐怖の陰にさいなまれて行くステップがじわりと伝わってくる。結構、一気読みが好きな私。これは休みを入れてじっくりその場面を愉しんだ。数は少ないもののマープルでの長編の中では好きなテイスト。ポアロにも用いられる回想スタイルはマープルの持ち味と言えるほどでデジャブに関わった人、過去を暴かれたくない人とその訳などゆっくり梳いて行くプロセスが面白い2019/11/12
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