出版社内容情報
AIを搭載したロボットのクララは、病弱な少女と友情を育んでゆく。愛とは、知性とは、家族とは? 生きることの意味を問う感動作
内容説明
クララは子供の成長を手助けするAF(人工親友)として開発された人工知能搭載のロボット。店頭から街行く人々や来店する客を観察しながら、自分を買ってくれる人が来ることを待ち続けている。ある日、ジョジーという病弱な少女の家庭に買い取られ、やがて二人は友情を育んでいくが、一家には大きな秘密があった…愛とは、知性とは、家族とは?根源的な問題に迫る感動作。ノーベル文学賞受賞第一作。
著者等紹介
カズオ・イシグロ[イシグロ,カズオ]
1954年11月8日長崎生まれ。1960年、5歳のとき、海洋学者の父親の仕事の関係でイギリスに渡り、以降、日本とイギリスのふたつの文化を背景に育つ。その後英国籍を取得した。ケント大学で英文学を、イーストアングリア大学大学院で創作を学ぶ。1982年の長篇デビュー作『遠い山なみの光』で王立文学協会賞を、1986年発表の『浮世の画家』でウィットブレッド賞を受賞した。1989年発表の第三長篇『日の名残り』では、イギリス文学の最高峰ブッカー賞に輝いている。2017年にはノーベル文学賞を受賞。2018年に日本の旭日重光章を受章し、2019年には英王室よりナイトの爵位を授与された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねこ
153
近未来、子どもの友達になるAF(人工親友)を裕福な家庭では買う時代のお話。そのAFであるクララ視点で全てが綴られています。感情があり観察が得意で言語対応能力、状況判断が非常に優秀で常に学習し、主人のジョジーに献身的に尽くしています。物語では富める者と持たざる者の溝、人間とAFのもっと大きな溝。そして心と身体の置き換えが不可能である象徴が幾つもありました。AFによる信仰にも驚きました。少し前に母親のVF(バーチャルフィギュア)を作る「本心」を読みましたがどちらも人は最終的にはAIを否定してしまう。悲しいね。2024/03/21
ehirano1
133
AIをツールに人間の根源の1つは「苦悩」であるというということを改めて浮き彫りにしているように思いました。一方で、AIがヒトの「苦悩」をも網羅できた時、それは人類にとって果たして・・・2024/12/30
夜長月🌙@読書会10周年
86
登場人物の誰よりも人間でないクララに感情移入してしまいました。邪心がなく純粋なクララは人の汚れた部分を取り除いた存在かのようです。邪心がないと書いてしまいましたがクララは心を持っているのでしょうか。カズオ・イシグロさんの故意に細部の設定を書き込み過ぎない表現も深みがあります。2024/01/20
はっせー
85
AIが登場する小説が読みたい人や海外文学が好きな人に読んで欲しい本になっている!カズオイシグロさんはこの本が初読みであった。読み終わって思ったことはなんて温かい本なんだ!ということ。そしてカズオイシグロさんの本を読み続けてみたいということであった!AIロボットからの目線が語られる物語は珍しい。読んでいて少しずつロボットのクララが成長している様子がわかると思う。クララと持ち主のジョジーとの友情物語。優しくもありでも厳しくもある世界感。思い出しても感動出来る!2024/01/31
あきぽん
77
私はロボットと暮らしています。ロボットから見たら人間の世界はどうなのでしょう?イシグロ氏だからこそ書けた、ロボット一人称の世界。あの猫一人称の名作に匹敵する、「わたしを離さないで」にも似た、愛に満ちた傑作。2024/02/07