内容説明
盗賊団から逃れようとしたピーター・レイクは、手負いの天翔ける白馬とともに空から落下した。一命は取りとめたものの、彼は記憶を失ってしまう。街の風景にも違和感があるし、彼のことを知る者もいない―だが、それは記憶喪失のためだけではなかった。彼は一挙に百年の歳月を飛び越えたのだ!新世紀を迎えるニューヨークでいま奇跡が起こる…。都市を現代の神話として語る幻想文学のクラシック。
著者等紹介
ヘルプリン,マーク[ヘルプリン,マーク] [Helprin,Mark]
1947年、ニューヨーク・マンハッタン生まれ。ハドソン川近辺と英領西インド諸島で育つ。ハーバード大学で修士号を取得後、プリンストン大学やオクスフォード大学で研究を行なう。研究生活の間に、イスラエルの歩兵に加わり、その経験を生かして最初の長篇Refiner’s Fire(1977)を執筆。短篇集Ellis Island and Other Stories(1981)で全米ユダヤ文学賞を受賞した
岩原明子[イワハラアキコ]
東京大学英文科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えりか
45
黄金の都市、ニューヨーク。繁栄と衰退を繰り返し、正義の都市へと築かれていく。そこで生きている彼らは不屈の精神と愛に溢れている。空を駆け巡る白馬、謎の船で現れ橋への情熱を持ち続ける男、死してなお愛する者の守護天使となり続けた少女、孤独で悲惨な境遇の中を生き長らえた男、(あー、他にも登場人物全員を紹介したいくらいみんな魅力的すぎる。)そして時を越えて愛と正義を貫いたピーター・レイク。彼らの愛や精神が街を構成している。それは未来への希望の光。次の時代への灯。今日終わったとしても、また明日には生まれかわっている。2017/12/05
KAZOO
20
下巻をあっという間に読んでしまいました。なんといっていいのかわかりませんが、抒情的な感じが出てくると思いきやダン・ブラウン的な感じのところも出てきたりで非常に楽しめた小説です。また今と昔のニューヨークの場面の描き方を見ていると当時の状況が目に浮かぶような感じでした。この小説まだ読まれていない方は、下巻の最後にある高橋源一郎さんのあとがきを立ち読みしてください。読みたくなること請け合いです。2014/06/16
pyoko45
11
とても良かった!ひとつひとつのエピソードが意表をついていながらも映画の一場面のように美しく印象的。複雑な因果の糸を手繰り寄せながら神話的な高みにまで昇りつめる過程が実に好みで、大長篇ながらも物凄く愉しく最後まで読み進んだ。ファンタジーの枠に嵌まりきらず様々な読みのできる作品だが、とにかく物語られることの幸福感に浸ることのできる一冊(否上下巻だから二冊か)だった。2014/04/17
ぐるぐる244
10
感想に「お上品なピンチョン」とあったけど、うーん、長い。魅力的なエピソードがてんこ盛り。さらにまた、文章が盛っている、というか癖がある。心に余裕がないとつらい。これを映画化って、どうなってるんだろうか。2016/01/29
maimai
6
カバー裏の紹介文や、高橋源一郎の解説を読んで、絶対に面白いに違いないと確信して読み始めた本書だが、どうも相性が悪いようで、まったくノれないままにとうとう結末まできてしまった。何度読んでも、まったく内容が頭に入ってこない箇所がある。高橋源一郎によれば「非常に長大な一篇の詩」だということだから、詩があまり得意ではない未熟者に言表の具体的指示内容に焦点を合わせることができないとしても、それはしかたがないことなのかもしれないが、それにしてもなぁ。2021/02/24