内容説明
ボトム(どん底)と呼ばれる丘の上で育った黒人の少女、奔放なスーラとおとなしいネル。正反対の性格をもつゆえに、少女たちは固い友情で結ばれた。二人で犯した許されざる罪でさえ、隠し続けられるほどの絆。だが時がたち、ネルの結婚式の日を迎えると、なぜかスーラは町を去ってしまう。十年後に二人は再会を果たすものの、その友情は…。黒人社会の光と影を、女性たちの成長とともに描く、ノーベル賞作家初期の傑作。
著者等紹介
モリスン,トニ[モリスン,トニ][Morrison,Toni]
1931年、オハイオ州生まれ。現代アメリカを代表する小説家。ハワード大学を卒業後、コーネル大学大学院で文学の修士号を取得した。以降、大手出版社ランダムハウスで編集者として働きながら、小説の執筆を続け、1970年に『青い眼がほしい』でデビュー。1973年発表の『スーラ』は第二長篇にあたり、全米図書賞の候補となった。1977年の第三長篇『ソロモンの歌』(以上すべてハヤカワ文庫刊)で全米批評家協会賞、アメリカ芸術院賞を受賞
大社淑子[オオコソヨシコ]
1931年生、早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了、同大学法学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
111
素晴らしい小説を読める喜びで全身がぞくぞくした。とてつもない傑作。スーラとネロという黒人の女性の友情を軸に、男性と女性、白人と黒人、愛と孤独、希望と絶望といった正反対の要素を縒り合せて奥深い物語を作り上げている。一番感心したのは、ジョイスやプルーストが四苦八苦してやり遂げようとした西洋の小説を再構築する試みに、楽々と成功していることだ。リアリズムの描写の中に神話的な要素が無理なく溶け込んで、斬新な小説になっているのだ。一本足の女性エヴァが神話的な人物の代表格で、(続く)2017/03/03
ω
44
青い目が欲しいに続いていってみよーω! しかし撃沈笑 難しかったよ〜。子供の頃超仲良しの黒人女の子2人🤝スーラとネル。 大人になった後の展開、丘の上の黒人専門村「ボトム」の住民の反応。そしてラスト。 解説記事でも読んで納得せねば…2023/08/19
myon
12
ノーベル文学賞受賞作家による、黒人女性の物語。2人の少女の人生が、さまざまな出来事とともに綴られる。再読したい。2022/10/27
まさきち
5
読み進まず、諦めようかと思いつつ何とか!と最後飛ばすように読んだ。最後の最後でこれが主題ね、と行き当たったけど、解説もあってなんとか理解の淵に立ったくらい。2024/08/13
mortalis
5
とても良いと思った。スーラは共同体からは悪そのもののように思われている。黒人共同体が悪をどう把握し対処するかというとても興味深い一節がスーラへの対し方を端緒に語られる程で、スーラから邪悪さを考えられるのかとも思ってしまう。だが実際はスーラは奇妙な探求者にすぎないようだ。その探求も、もしかしたら、「そうしたらどうなったか」を「彼女を暗い想いから引き放し、もう一度明るく暑い陽光のなかへ連れこんでくれた」という唯一の友達のネルに話してきかせたいというだけのこと?なのだろうか。いじらしい。2017/09/19
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