内容説明
運河に吊るされた幼女の死体は脳の一部が抜き取られていた。犯罪ノンフィクション作家のマリーは犯人として捕らえられた謎の男レイと取材で面会を繰り返すうち、ただの殺人鬼とは思えない奇妙な印象を抱く。だがその直後、レイが逃走。無辜の一般市民を殺害して、消息を絶った。残忍な連続殺人犯と対峙する女性作家が、悪夢の果てにたどりついた真実とは?著者渾身の新シリーズ始動。アメリカ探偵作家クラブ賞最終候補作。
著者等紹介
宇佐川晶子[ウサガワアキコ]
1974年立教大学文学部英米文学科卒、英米文学翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハレ
7
この本の主人公は犯罪ノンフィクション作家なのだ。本作の中に主人公が書くノンフィクションが挿入されるという構成になっている。最初はちょっと戸惑ったが、読み進めていくうち予想外の展開があり巻措くあたわず状態になる。たまにノンフィクション部分が‘正解はコマーシャルの後で’的に挿入されイラッとすることもあったが何とかこらえ夢中で読み終えた。ただこんなに面白いミステリーなのに登録数が少ないのはなぜ?他の人のレビューをたくさん読んで共感したいのになぁ。 2023/04/22
キーにゃん@絶対ガラケー主義宣言
7
ナンシー・ピカードの新シリーズ(といっても2000年の作)。今までとは全然違った作風で、これ凄く期待のシリーズなんですが、その後の翻訳が無い!残念(>_<)2020/05/20
his
5
初っ端、判事が犯人に発砲。銃社会に疎い私としては「え?嘘でしょ?撃った?」と頭の中がハテナで1杯に。あまり殺傷能力の無い小型経口と言われてもピンと来ない。そんなこと、ある?それはそうと、ノンフィクション作家の主人公が紡ぎ出す「優しい文章の真実」を、「信用出来ない語り手なのでは」と穿った見方をして読み進める。なんてさもしい私なんでしょう。作中作が全て叙述トリックありきだと思い込んだらダメね。たまには素直に読まないと。私には素直さが足りないと再確認。あまりない読書経験で本当に面白かった。薦めてくれて大感謝。2024/04/17
nori
4
一連の事件の裏の狂った真実が、あんな所こんな所で明らかになってゆく。何とも何とも、これぞ驚愕の展開‼️なのである。衝撃的な犯罪にルポ作家が関わって明らかにされて行くという、事件のウチとソトの両側から描き進められている。誘拐され長い間飼育されていた異様な殺人犯。こんな作品そこらに転がっていないだろうに、今迄書評でも読んだ事も見た事も寡聞にして知らなかった。凄いぞピカード‼️唯、米国の司法制度が良く分からない。法廷で判事が犯人に発砲するって!?ピストル身につけている裁判官が居るって事に驚嘆した。ホントなの?2023/06/06
ライム
3
すごい完成度の高い作品だった。でもこれシリーズ第1作目で続きが出てない(泣)ヒロインは事件の語り部のような存在。それというのも彼女の職業が犯罪ノンフィクション作家だからだ。被害者加害者、警察検察弁護陪審全てに書き手として公平でありたいと願う。でも偽善ではない。そこには本人の秘密を含む痛みがある。なんだかとても真実な物語を読んだ気持ちです。マリーのこのあとの活躍、恋人との関係、両親の行方を読みたい!!この作品もっと評価が高くても良いと思う…。続きが読みたいよ!2018/08/09