感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
89
「愛しているから」。その言葉は男の全ての行動原理だった。しかし『愛』は女にとっては枷となり、その重さに耐えかねて逃げ出した。そして代償としてトラブルを招き入れた。一方男は、女を繋ぎ止めておくため、ひたすらに成功と富を求め、越えてはいけない一線を越えてしまった……。「男はかくあるべきだ」。シリーズ全篇の根底に流れる『男性誇示(マチズモ)』についてスペンサーが自らの言葉で語る代表作。対立軸にカルト的なウーマンリブ運動家を配置することで、彼の姿勢がくっきりと浮かび上がる。彼を「ヒーロー」と呼ぶホークが初登場。2016/07/03
bookkeeper
56
★★★★★ 初読。失踪した妻の捜索を依頼されたスペンサー。事業の失敗で借金漬けの夫、ウーマンリブ運動に取り込まれて銀行強盗の片棒を担いでしまった妻。スペンサーは崩壊の瀬戸際にある夫妻を一気に救う奇策を立てる…。敵陣営の用心棒としてホークが登場。全然暴れるシーンが無いのに超凄腕なのが伝わるのが凄い。マッチョでインテリ、必要なら法を犯すことを辞さないのに司法当局と結構仲良し。矛盾したかに見える性質を内包して独り立つスペンサーの面目躍如です。スペンサーと議論はするけどやり込めようとしないスーザンは最高に素敵。2024/09/09
GAKU
55
スペンサーシリーズ第4作。今回は失踪した妻を捜して欲しいという依頼から、さらに夫の借金トラブル、夫婦間の修復にまで関わって行く。スペンサー自身の規範、行動倫理、生き方等がかなり見えてくる作品。いよいよあのホークも、敵役に雇われたフリーランスの用心棒として登場。MWA賞最優秀長編賞受賞作品。引き続き第5作再読へ。 2021/07/06
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
46
「愛しているから」。その言葉は男の全ての行動原理だった。しかし『愛』は女にとっては枷となり、その重さに耐えかねて逃げ出した。そして代償としてトラブルを招き入れた。一方男は、女を繋ぎ止めておくため、ひたすらに成功と富を求め、越えてはいけない一線を越えてしまった……。「男はかくあるべきだ」。シリーズ全篇の根底に流れる『男性誇示(マチズモ)』についてスペンサーが自らの言葉で語る代表作。対立軸にカルト的なウーマンリブ運動家を配置することで、彼の姿勢がくっきりと浮かび上がる。彼を「ヒーロー」と呼ぶホークが初登場。
slider129
39
久しぶりのスペンサー。ホークの初登場という事でかなりの初期作品ですが、相変わらずのタフで優しい哲学者スペンサーは健在です。最近は悩めるハリー・ボッシュ物を読んでいるせいか、ここまでマッチョな主人公は爽快ですらあります。この作品が発表された頃にジュリーが「ボギー、あんたの時代は良かった」と歌ってましたが、今の僕の心境も、ボギーをスペンサーに変えて歌いたい気分です。ストーリー自体はそれほど手は混んでいないけど、中年夫婦の愛情のすれ違いやジェンダーに纏わる問題は、40年経った今でも古さを感じない所が憎いですね。2019/03/16