内容説明
19世紀末ロンドン。上流家庭を狙った連続盗難事件を追うクリッブ部長刑事は、ひょんなことから人気霊媒師の降霊会に立ち会うことに。霊の存在などまるで信じないクリッブだったが、不気味な物音や闇を飛ぶ青白い手などの怪現象に驚愕する。騒然とする中、さらに霊媒師が不可解な感電死を遂げた!クリッブと部下のサッカレイ巡査は怪異現象に隠された巧緻な罠に挑むが…名匠が放つ本格ミステリ。
著者等紹介
谷田貝常夫[ヤタガイツネオ]
1932年生、東京大学文学部卒、英米文学翻訳家
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感想・レビュー
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セウテス
88
クリッブ巡査部長シリーズ第6弾。流石、「現代を代表する本格派」だ。本シリーズも6作品目、メインキャラにも馴れ愛着も湧いてきた。しかし本シリーズは、驚くべき事に1作品毎のスタイルが違うと気がつく。歴史小説風、前後半での構成の変化、スリラー調と来て、今回は黄金時代的本格謎解きと、作者の才能の広さに只々脱帽である。物語は降霊会にて、人気の霊媒師が感電死する。そのトリックの謎は在るが、何故その霊媒師が殺害されるのか、こちらからの取り組みが特徴的であろう。最後に関係者を一堂に集めての謎解き、これですよミステリは。2019/11/15
J・P・フリーマン
10
降霊会の最中に、微弱な電圧しかかからない電気椅子に座っていた霊媒が感電死した。不思議な謎とヴィクトリア朝の独特の雰囲気が相まって正統派ミステリの風格が漂う。最後は関係者全員を集めての真相解明と、古き良きが詰まった本格ミステリです。2020/04/28
ぺんぎん
9
最初はちょっと読みづらいなと思ったけど、霊媒師と貴婦人の関係、博士の娘の裏の顔などが次々明らかになって、最後の方は犯人は誰なんだろう?とハラハラしながら読めた。幽霊など正体不明なオカルトを利用して人を騙す輩はいつの時代にも居るんだな。やっぱり幽霊より怖いのは人間なのだと再認識。2024/08/09
bapaksejahtera
4
クリップ刑事によるビクトリア朝シリーズ。ホームズ等が活躍した時期の世態風俗や社会意識を際立たせる手法であり。素手の長時間拳闘や競歩、ミュージックホール風俗等、背景がむしろ主役の趣のある作品群である。今回も当時隆盛を極めた降霊会がテーマである。階級意識の強調、都市交通はまだ馬車であるが電灯は普及初期の時代模様は興味深いのだが、「怪事件」という程は奇矯でない殺人の謎解きが目立ち、今回はやや調子を外したように思える。スコットランドヤードの上司部下3人組の個性を承知して読んで、初めて筋を追える作品であると思う。2021/04/03
チェス
3
始め少し退屈だったけど、そこそこ楽しめた。2018/12/30