出版社内容情報
かつてない距離を即時に越えるコミュニケーションを可能にした電信。その発明史と、19世紀の欧米社会に与えた大いなる影響を描く
内容説明
19世紀、ヴィクトリア女王の治世。モールス符号を用いた電信の登場はかつてない距離を即時に越えるコミュニケーションを可能にし、世界をつないだ。通信社間のスクープ合戦、詐欺やいかさま、オンライン恋愛、ハッキングなど、その社会的影響はインターネットがもたらしたものと驚くほど似ていた!腕木通信を退け電話にいたる、夢想家たちが織りなした発明史に情報時代の起源を見出し、読者のメディア観を刷新する名著。
目次
第1章 すべてのネットワークの母
第2章 奇妙に荒れ狂う火
第3章 電気に懐疑的な人々
第4章 電気のスリル
第5章 世界をつなぐ
第6章 蒸気仕掛けのメッセージ
第7章 暗号、ハッカー、いかさま
第8章 回線を通した愛
第9章 グローバル・ヴィレッジの戦争と平和
第10章 情報過多
第11章 衰退と転落
第12章 電信の遺産
著者等紹介
スタンデージ,トム[スタンデージ,トム] [Standage,Tom]
ジャーナリスト・作家。1969年生まれ、オックスフォード大学卒。英『エコノミスト』副編集長。テクノロジー、科学、ビジネスを歴史の観点から論じることを専門とし、『ニューヨーク・タイムズ』『ガーディアン』『ワイアード』などに寄稿する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
137
初めてインターネットを使ってみて、世界の情報を瞬時に知ることができる技術に驚嘆した。19世紀半ばにモールス信号を使った電信が実用化された当時の人びとの反応も、テレビも電話もコンピューターもないだけに魔法かと思えたろう。そこで起こった技術開発競争とスクープ合戦に詐欺、オンライン恋愛にハッキングなど、ネット時代と全く同じだった。進化した技術を見せつけられた人の反応は150年前も現代もまるで変っていないとは、情報化に対応する能力に限界があるのは明らかだ。適当なところでハイテク化を止めた方が人類のためではないか。2024/08/12
へくとぱすかる
57
エジソンもカーネギーも若いころに従事していた世界最初の光速通信。ヴィクトリア朝時代に急速に広がり、実用化された「電気式テレグラフ」、要は電信によるコミュニケーションは、現代のネットと驚くほど似ていた! 21世紀の電報は化石的に残っているだけだが、最盛期の利用のされ方はまさにネットそのもの。想像もしていなかった。のちに電話が発明されると黄金期は去っていき、まさにヴィクトリア朝時代に熱は収まる。著者の言う「テレコミュニケーションの民主化」が、バソコン・スマホ時代の今、今度こそ理想的に実現してほしいと思う。2024/05/19
よっち
39
19世紀ヴィクトリア女王の治世。現代のインターネットがもたらしたものと驚くほど酷似したモールス符号による電信を巡る夢想家たちが織りなした発明史。距離を即時に越えるコミュニケーションを可能にして世界を繋いだ電信の登場。それはビジネスの手法を劇的に変化させただけでなく、通信社間のスクーブ合戦、当時の最新通信技術を利用した詐欺やいかさま、オンライン恋愛、ハッキングなど、それを利用しようとする人々の縮図になっていて、そういう時は往々にして技術の功罪が問われがちですけど、良くも悪くもそれを使う人次第なんですよね…。2024/05/29
ばんだねいっぺい
32
同時に暗号の本を読んでいるので、興奮しながら楽しく読んだ。画期的な発明も結局のところ、小を積んで大をなすでできている。モールスの人生も興味を引いたが、それにしてもエジソンを改めて自伝を読み返したいと思った。新技術に対する人の無理解は、しょうがないと思った。2024/11/14
kei-zu
26
評判は高いが、原著の刊行が1998年と聞いてなかなか手が伸びなかったのですが、読後の感想は「おもしろかったー」。世界中が(電信用の)ワイヤーでつながり、技術がそれまでの常識を覆す展開は今更ながら驚きであり、技術革新が進んでいく過程も興味深い。電信で知り合った知人に会ったら異性でびっくりなんてことは、この頃からあったのですね。2025/01/12
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