出版社内容情報
大角 修[オオカド オサム]
翻訳/解説
内容説明
長大かつ不可思議な記述や繰り返しが多い法華経が、初心者から読めてよくわかる!口語訳や原典訳だけでは掴みきれない、日本の仏教文化が依拠してきた漢訳経典のもつ霊的なイメージ、祭儀で唱えられる言葉の響きや意味を重視しつつ圧縮して現代語訳。読解を助ける見出しとともに、解説コラムや事典も充実。和歌や物語等にも数多く現れ、日本の歴史文化に深く浸透する法華三部経全十巻を理解し、体感し、読み通すための決定版。
目次
法華経のプロローグ 開経 無量義経(全一巻)
第1部 山上の集会(由来―序品第一;手段―方便品第二;炎の家―譬喩品第三 ほか)
第2部 天空の集会(宝塔の出現―見宝塔品第十一;友と少女―提婆達多品第十二;宣教の誓い―勧持品第十三 ほか)
第3部 地上の集会(光明遍照―薬王菩薩本事品第二十三;三昧の力―妙音菩薩品第二十四;観音力―観世音菩薩普門品第二十五 ほか)
法華経のエピローグ 結経 観普賢菩薩行法経(全一巻)
著者等紹介
大角修[オオカドオサム]
1949年、兵庫県生まれ。東北大学文学部宗教学科卒業。宗教研究科、有限会社「地人館」代表。仏教書を中心に幅広く編集・執筆活動を展開している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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❁Lei❁
23
先日ようやく進路が決まり院試から解放され、卒論研究の再開を本書から。一冊にまとまっているので全体像を掴むのにうってつけです。またコラムや小事典などもあり、初心者にうれしい仕様となっています。仏教は日本文学に自然に反映されるものなので、研究にあたり経典に注目するのは有意義だと思います。個人的に、三乗を全て含めた一仏乗を説く、法華経の懐の深さが好きです。2022/10/03
不識庵
16
自分が異邦人であると思う場面が、生活のなかでたまにある。いわゆる普通のライフイベントを、順当に経てきていないからか。かえりみて少年期のいつごろからか、埒外にいる自分を認めるようになった。法華経を初めて通読した。難しいイメージが先行していた。法華経の成立は釈尊入滅後らしい。確かに原始経典と比べると、釈尊の姿は戯曲的である。しかしそれは大きな問題ではない。経典のなかに釈尊の息吹きが感得されるから。人は現世の訪問者である。様々なことを見て聞いて試すために来たのである。読み終えて思う。さちあれ、娑婆にさちあれと。2018/06/20
大島ちかり
6
難しくて理解には及びませんでした。 どうして、広く受け入れられたか知りたいです。(他のお経との違いすら分からなかった。💧) コラムは勉強になりました。視野が広がります。2024/07/29
ゆうこ
5
読み終わったわけではないので読了ではないけれど、少し間を置きます。比叡山延暦寺にお参りしたことを機に法華経を知りたいと思い読み始めました。到底理解することはできませんが、読んでいるとこの世界感は違う本で読んだことがある、と気づきました。十二国記。麒麟が住む世界がとてもよく似ている。法華経の教えと難しく構えて読むのではなく、仏様が出てくる物語と読めば大変面白い本です。少し時間をおいてまた読みたいと思います。2020/09/25
月音
4
法華経と聞いて思い浮かぶのは、私の場合、宮澤賢治、平安朝の物語・日記類にある“法華八講”、“龍女成仏(女人往生)”、“薪こる”の言葉。大角氏の訳書は二冊目で、上記の用語解説をはじめ、歴史文化面の解説が充実しているので分かりやすい。特に本書では、宮澤賢治の信仰について幾度か言及され、新たな気持ちで作品に向かいたくなった。経典に触れてみてなにより驚いたのは、「法華経という素晴らしい経典がある」と述べながら、その中身は一切明かされないことだった。…思わず二度見、どころじゃない。⇒続2024/10/12