内容説明
日本人選手の活躍で湧くメジャーリーグ。この華やかな世界に影を落とす一つの謎がある。「なぜ4割打者は絶滅したか」だ。この問題に世界屈指の古生物学者で野球ファンのグールド博士が取り組んだ。そこから見えてきたのは、われわれの進化観にも潜む根深い偏見だった…生物界のトレンドを見出すには生物界の全容を視野に入れねばならない。この「正論」を、アクロバティックな構成で語る、科学啓蒙家グールドの真骨頂。
目次
第1部 トレンドの見分け方(ハクスリーのチェス盤;戦略的広報担当官に囲まれたダーウィン ほか)
第2部 死と馬―変異優位を物語る二つの例(最初の例―個人的な物語;第二の例―生物のささやかな冗談)
第3部 妥当な打者―四割打者の絶滅と野球技術の向上(問題点;従来の説明 ほか)
第4部 最頻の細菌―生命の歴史は進歩の歴史ではないわけ(自然淘汰の骨子;最小スケールでの予備的な例―体のサイズの進化に関する一般性 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
トムトム
26
野球のことをよく知らないので、前半の野球の例えはよく分かりませんでした。後半のお話。進化ではなく変化。地球の覇者はバクテリア、という話は面白かった。確かに、どんな大絶滅が起きてもバクテリアが絶滅することはなさそうです。地球の終わりまで生き延びる生物はバクテリア!少なくとも人間はそこまで生き延びるの無理だろうなぁ。2020/09/13
棕櫚木庵
14
随分前に読了したつもりだったが,最後の1章を読み残していたらしい.要旨:進化には,結果的にある方向性が見られるが(受け身型トレンド),それは,進化に方向性が内在している(誘導型トレンド)からではない.それを,野球の4割打者が姿を消した理由と関連付けて論じる.「一方が壁,他方がどぶ川に挟まれた道を酔っ払いが歩いてゆくと,最後はどぶ川に落ちるだろう(受け身型トレンド).しかし,酔っ払いにどぶ川に向かって歩く傾向がある(誘導型トレンド)のではない」(p.256以下,取意)という「酔歩」の喩えは面白かった. 2018/01/09
こひた
3
統計学、科学的手法等でいろいろ分析。なぜ4割打者が?なぜベイブルースが単年度最多HR記録をとらなかったか。2008/05/18
静
2
これ以上単純なものはない生命から出発したら複雑になるしかない。だから複雑になる傾向があるように見えるだけかもしれない。複雑さの定義どうするのかなって思ったら最後のほうに出てきた。生命は複雑さを増すっていう法則がないか探ってるって言ってたカウフマンがこれ読んだらどう思うんだろ。進化で人間ばかり強調することを批判してたけど、最後の文化の話は人間中心に聞こえた。なんで本文中で引用がずっとセーガン&マーグリスだったんだろう。文献リストも共著者名はマーグリス(母)が先なのに。バクテリアへの愛が私には物足りないですね2012/08/10
shiaruvy
1
コメント予定 [2003.11.30 初版]