ハヤカワ文庫 奇妙な論理〈２〉なぜニセ科学に惹かれるのか

ガードナー，マーティン【著】〈Ｇａｒｄｎｅｒ，Ｍａｒｔｉｎ〉/市場 泰男【訳】

早川書房（2003/02発売）

• サイズ 文庫判／ページ数 319p／高さ 16cm
• 商品コード 9784150502737
• NDC分類 404
• Cコード C0140

内容説明

冷静に考えれば正気の沙汰でないニセ科学には、一種抗いがたい魅力がある。でなければ、人がここまで簡単に騙されるはずがない…性にまつわる常軌を逸した諸理論や、エセ医師を儲けさせるだけの「奇跡の医療機器」、ピラミッドに秘められた数字が語る、神秘と欺瞞に満ちた聖書考古学など、偽物とわかっていても面白すぎて目をとめずにいられない擬似科学的話題を網羅、各個撃破する名作第２弾。

目次

円盤狂時代の開幕―異星人が地球を見張ってる？
占い棒と占い振子―地下水や石油、病気や性別もピタリ
生命をつくり出す人々―現代のホムンクルス
ルイセンコの勝利と敗北―科学が権力にすり寄るとき
アトランティスとムー―「失われた大陸」の魔力
ピラミッドの神秘―数字が未来を予言する
奇跡の医療機械―えせ医師たちのボロもうけ
めがねを捨てろ！―オルダス・ハクスリーもだまされた近眼治療
奇妙な性の理論―男女児の産み分け、若返り、保留性交など
一般意味論とサイコドラマ―精神治療のわき道
骨相学から筆跡学まで―性格判断のいろいろ

著者等紹介

ガードナー，マーティン［ガードナー，マーティン］［Ｇａｒｄｎｅｒ，Ｍａｒｔｉｎ］
１９１４年生まれ。シカゴ大学哲学科を卒業後、新聞記者、海軍従軍を経て『サイエンティフィック・アメリカン』誌の数学ゲーム部門編集長を勤めたのち、フリーランスのサイエンスライターとして活躍、科学解説書からゲーム・パズル物までの幅広い著作で絶大な人気を誇る

市場泰男［イチバヤスオ］
１９２４年生、東京大学理学部中退
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[こばまり]

空飛ぶ円盤やダウジングには、まだどことなくほのぼのとした趣が漂うが、旧ソ連のルイセンコの例は笑っては済ませられない。読んでいる最中に原著は70年前の発行と知り驚いた。擬似科学やオカルトはいつまでも色褪せぬ話題と申せましょう。

2022/09/03

[山口透析鉄]

こちらも旧文庫版でも読んでいます。ルイセンコ学説みたいなケース、また出てきそうですし、20世紀の古典といっても良いような本です。でもあまり再読まではしていません……。

2024/05/02

[筑紫の國造]

『Ⅰ』の続編。疑似科学を展開するのが自称「専門家」ばかりとは限らない。時に、きちんとした博士号持ちの医者も科学的根拠のない「医療」を持ってくる。となると、素人はその肩書きに騙されるし、専門知識がないから見破る事は難しい。我々がそれらに引っかからないためには、本書のような案内書を手に取り、「あまりにもうまい話には乗っからない」という事だろう。また、「思想」が科学を利用する恐ろしさについては本書のルイセンコの章を読めばよく分かる。思想の正しさを科学によって強引に裏付けようとすれば国家の崩壊まで引き起こす。

2019/10/17

[t_hirosaki(t_hirosaki)]

知る価値のない事柄が多数集められていることに価値があるという希有な本である。作中に疑似科学者とその理論が大量に出てくるんですけど覚えたって一文の得にもならないので読むのに身が入りませんでした……。理論の名前だけおおざっぱに覚えておいて、それっぽいものに勧誘されたりどっかで見掛けたりしたときに逐次確認するのが無駄がなくていいかも、と思いました。そんな中でもルイセンコの項だけは気合い入れて読むべきだと思いました。多分科学史上での重要な事件なんですよね、あれは。

2010/08/08

[赤い熊熊]

擬似科学を笑い飛ばしながら、警鐘を鳴らす本の古典。色々ごちゃごちゃしてて読みにくい部分もあるけれど、ガードナーが歯に衣着せずバッサリと似非科学を斬るのが清々しい。ただ一つの難点は、池内了による解説。この池内氏はすぐに擬似科学をナショナリズムに結び付け、学生運動を始めようとするのだが、他所様の書いた本の中でまでやってしまう厚かましさには閉口。擬似科学と同じく、彼の解説も有害。

2013/12/09