内容説明
「腹が立つ」なら腹で、「頭に来る」なら頭で怒る。では「むかつく」の場合はどこで怒っているのか?「肌を許す」とか「お肌の曲がり角」とは言っても、「皮を許す」とも「お皮の曲がり角」とも言わないのはなぜか?…日本人が無意識に抱いている身体観をはらんだ、「からだ」に関わることばを用いた言い回しに注目するというユニークな手法により、近代・現代の日本人像を浮かびあがらせる快作。
目次
からだことばが消えていく
「腹がたつ」「頭にくる」「むかつく」
「腹」と「胸」、神経とストレス
「気」と「息」、からだといのち
「肌感覚」と「皮感覚」
「肩」の心性史
「足」の文化、「腰」の文化
見る、視る、観る、診る、看る
聞く、聴く、訊く、効く、利く
ふれる、なでる、抱く、包む
ピアノをひく、風邪をひく、汗がひく
「からだ」「肉体」、そして「身体」
身のこなし、身にしみる、身をまかす
「気持ちいい」行きかた
「疲れ」社会、「痛み」人生
ことばの治癒力
作家とからだとことば
著者等紹介
立川昭二[タツカワショウジ]
1927年、東京生まれ。早稲田大学文学部史学科卒業。北里大学名誉教授。歴史家。とりわけ文化史、心性史の視点から、病気や医療について研究する。『歴史紀行・死の風景』でサントリー学芸賞受賞
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