内容説明
恐怖の爆弾テロリストたちの暗躍を物語の経糸にして、黄昏の世紀末ロンドン、合衆国の荒野、カリブ海の小島を舞台に繰り広げられる、怪奇で波瀾万丈な奇談の数々。ドイルやマッケンにも大きな影響を与えた連作小説、本邦初訳なる!!
著者等紹介
南條竹則[ナンジョウタケノリ]
1958年生れ。作家。著書に『酒仙』『魔法探偵』『人生はうしろ向きに』他(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
73
『新アラビア夜話』のフロリゼル王子が帰ってきた!早々に明らかになるフロリゼル王子のその後には思わず、口が開きましたが、お元気そうで安堵しました。これはフロリゼル王子の下に集う3人の若人の3つの冒険の物語である。モルモン教のコミュニティに翻弄される美女、老婦人の駆け落ち劇と爆弾を作る革命家、ブードゥーの秘術と奴隷になる前の逃亡劇という、ホームズものなどの推理小説好きにはたまらない舞台にぐいぐいとのめり込みながら読みました。しかもこの作品は妻との合作なので女性陣が策略家でありながらも不屈で活発なのが光ります。2021/07/08
qoop
8
三人の狂言回したちが三様に騙されるという枠物語調の長編。ミステリ仕立てだが構成は単純でご都合主義という指摘は免れないだろう。しかし騙す側と騙される側の関係性が各挿話で大きく異なる点は変化に富み、知らないうちに物語を展開させている仕掛けもまあ面白く、結末の明瞭さも含めてなかなか工夫のみられるところ。本邦初訳とのことだが、このレベルで読ませる作品であれば不思議に感じられる。訳者解説にある通り、女性の造形に注目すべきだろう。2022/01/17
ゆう
5
入れ子式のエピソードがどれも面白かった。アラビアンナイトは読んだことないけど、同じような構造になってるんでしょう? ソルトレイクのモルモン教徒エピソードは「緋色の研究」より先に書かれてるんだな…2021/12/23
まどの一哉
5
巻末解説にもあるとおり、スティーヴンソンとその妻ファニーとの合作のせいか、波乱万丈の冒険体験は女性ばかり。世慣れぬ凡庸な青年男子はいいように翻弄されるという筋立て。 この女性達の体験が開拓時代のアメリカ荒野、キューバの奴隷社会など、日常を離れた世界で繰り広げられ、その展開の自由自在さが心地よく、さすがにスティーヴンソン。読んでいて脳が解放されるばかりだ。2021/05/12
黒とかげ
3
うーん。感想を書くのさえ難しい。今の自分は評価すらできない。新しい世界の扉を開きたいのなら、読むべきである。2021/06/22