内容説明
一人暮らしの自宅で、覆面の男に襲われたミシェル。その後、犯人から自分を監視しているらしきメールが届く。男はいまも近くにいるのだろうか。彼女は護身具で身を固め、周囲の人々に目を光らせる一方、家族や愛人の厄介事にも対処しなくてはならない。次々と起きる問題に奮闘する彼女のまえに、ふたたび犯人が現れた!型にはまらない主人公の姿が衝撃と共感を生んだ、フランスのベストセラー・サスペンス。
著者等紹介
ジャン,フィリップ[ジャン,フィリップ] [Djian,Philippe]
1949年パリ生まれ。記者や倉庫係などさまざまな仕事を経て、1981年に小説家デビュー。1985年に発表した『ベティ・ブルー/愛と激情の日々』は、ジャン=ジャック・ベネックス監督により映画化され、日本をふくむ世界中で熱狂を巻き起こし、苛烈な愛を描いた傑作として今なお語り継がれている。以後、30作近くの話題作・問題作を発表し、第一線で活躍している。2012年、『エル ELLE』で、フランスの5大文学賞の1つであるアンテラリエ賞を受賞した
松永りえ[マツナガリエ]
上智大学外国語学部フランス語学科卒、仏語・英語翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
藤棚の下のくつろぎ本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
148
狂った小さい歯車があちこちでギコギコと動いている。それには油が十分でないから、廻る歯車に白い肌が当たると汚く傷付けられる。歯車同士は噛み合っていないみたい。それらの後ろは真っ暗なのだけど、光る目だけがこっちを見ている。それは一対なのか、沢山あるのか。ミッシェルばかりが何かを背負っているようで可哀想に見える……ほんと? 一筋縄ではいかない登場人物達。それぞれが意味するものを考えるととても深い。でも表面だけ読んでも構わないのだと思う。最後から数ページでは思わず口に手を当て息をのんだ。原題は『OH…』2017/11/03
nuit@積読消化中
92
『ベティ・ブルー』のフィリップ・ディジャン原作!そして変態監督として名高い(私は『ロボコップ』時代から大ファン)ヴァーホーヴェン監督が映画化!ということで読まずにいられなかった。薄い本の中には日本人の私には理解できない、フランスならではの価値観やら思想などが盛りだくさん。いや、フランス人でも理解できるんだろうか。元夫婦、事実婚カップル、不倫関係、父と娘、母と息子、父と息子、母と娘、血の繋がらない親子と様々な関係が愛憎たっぷりに語られている。またどれだけ性に奔放なんだろうと読んでいて驚きの連続でした〜!2017/08/22
yumiko
76
唐突な場面転換や支離滅裂な言動に彼女の心の乱れが表れているようだった。冒頭の恐ろしい事件も本当にあったのか疑ってしまったくらいだ。中年女性のアイデンティティクライシスだと切ったら身もふたもないだろうか。おそらくは父母との関係が彼女の複雑な内面に影響しているのだろう。ミシェルの中に幾つにも引き裂かれたミシェルがいて、どれも彼女でありながら、一人の彼女として存在しえていない。それでも哀れな女性に見えないのは、性に対する貪欲さが生を謳歌しているようにも感じられるから。ラストは悲しい哉悲劇ではなく喜劇に思えた。2018/02/07
ケイ
71
読者会に向けて再読。2018/01/26
星落秋風五丈原
40
映画化のヒロインがイザベル・ユペールと聞いて納得。何というか、一人称語りだからなのかああいう事があった割には主人公悟ってるなと。それとも感覚がマヒしているのか。そしてラストにびっくり。二人ともおかしいよ!2019/06/14