内容説明
産業革命の荒波に揺れる19世紀初頭の英国。少年ジョンが偶然豪華な馬車を見かけたことが、すべての発端だった。馬車を飾る紋章に、自宅の銀器と同じ“五輪の薔薇”の意匠を見つけたのだ。やがてそのことが、ジョンと母親を思いもよらぬ悲劇的な運命へと誘うことになろうとは…ジョンの出生と人目を忍んで暮らす母子の秘密、莫大な遺産の行方など数多の謎が紡ぐ迷宮世界。翻訳出版文化賞受賞の超大作。
著者等紹介
パリサー,チャールズ[パリサー,チャールズ][Palliser,Charles]
1947年、アメリカのマサチューセッツ州生まれ。イギリスに渡ってオックスフォード大学を卒業し、1974年からスコットランドのグラスゴーにあるストラスクライド大学で英文学教授を務める。1989年、執筆の準備に12年をついやした本書『五輪の薔薇』で小説デビューを果たした
甲斐万里江[カイマリエ]
早稲田大学文学部大学院卒、早稲田大学名誉教授、英米文学翻訳家
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ダークスター
5
まだ、〈1〉を読み終えただけだが、これはなかなか面白い。〈2〉も楽しみ。2016/11/27
sohara
2
いつかは読もうと思っていた評判の長編文庫五分冊の第1巻。主人公ジョンが語る一人称の縦糸と、三人称で語られる横糸によって織られてゆく精緻かつ複雑なタペストリーを思わせる謎解き物語は、まさにディケンズの世界。1巻目なのに「訳者あとがき」がついていて、著者のディケンズへの思い入れやタイトルにからんだしかけが懇切に解説されているのは、漫然と読まれては最終巻までたどりつけないかも、との意図か?個人的には、「ペニー・ポスト制度」などの作中語句の解説が非常に興味深く、訳者の労をいとわぬ仕事ぶりに深謝。 2014/07/05
一柳すず子
2
以前から気になっていたけど、ついに読み始めた。お母さんがまだ言えないわでじらしつつ、財産を目減りさせていくところで続く。かなり「ジョンランプリエールの辞書」っぽい展開。まだ全貌が見えないので、悪役の暗躍など、味方か敵か、いろいろ考えてしまう。2013/12/06
コホン
1
再読。思っていたより、登録者数が少ないんだけど・・・。なぜ?面白くない?約10年前に読んだときにかなりのワクワク感があったのに、今回、読んでいて、「この親子、バカだわー。考えなしだわー」って思うのは先を知ってしまっているからよね。先のことを思うと憂鬱になってきて、楽しめない(それだけはまってる、ということかしら?)このお話が面白くないわけじゃないのに、いやだなぁ、次以降。と思ってしまいました。再読なので、しばらくしてから、2を読む予定。2014/05/17
Ikumi Sekine
1
14年ぶりの再読。 主人公の少年が自分の出生の秘密にせまっていく、まさに私好み。 主人公の母親の世間知らずぶりにはいらいらさせられるけど。 ハードカバー版では家系図が徐々に出来上がっていくのに、文庫版では最初から家系図ができあがっていて、そこが不満。2013/06/09