ハヤカワ文庫<br> イプクレス・ファイル

ハヤカワ文庫
イプクレス・ファイル

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  • サイズ 文庫判/ページ数 380p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784150404895
  • NDC分類 933

内容説明

英国で最も重要な情報機関WOOC(P)。新たにその一員となったわたしは、失踪した化学者をジェイなる人物の手から取り戻す任務を与えられた。ジェイは一連の要人失踪事件を操る黒幕らしい。問題の化学者は、東側に拉致される途中、レバノン山中で奪回。だが依然として、ジェイと彼の組織の動向はつかめなかった。謎を追い、ロンドンの不気味な家、南太平洋の原爆実験島と動き回るわたしは、やがて自分が東側の二重スパイとして追われていることを知る!巨匠が斬新な文体と卓抜なストーリー展開で、スパイ小説の新世紀を拓いた鮮烈なデビュー作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

56
ジョン・ル・カレと並ぶイギリススパイ小説の古典。英国の陸軍情報部で3年働いていた主人公が新たな部署に配属され、任務につくうちに陰謀に巻き込まれていく。客観的な描写ではなく、主人公を通して語られている上に、曖昧な表現が多く、軽快ではあるが起こっていることが分かりにくい。ある人物が二重スパイだったことは判明し、彼は排除されたが、他の者たちはどうなのか。黒幕とされる人物は高官と繋がっているらしいが、それを暴くのは難しそうだ。2022/08/24

花乃雪音

19
スパイフィクションのアイコンである『007』ジェームズ・ボンドへのカウンターとして作られた黒縁メガネをかけた地味なビジュアルの私(映画化された際ハリー・パーマーと名前がついた)が主人公である。両作の主人公のキャラクター造形は確かに対照的だが、本作のストーリーを見ると明るいイメージを受ける。『007』にどちらといえば近い印象を受けたため小説が対照的には思えなかった。解説を読むと本作と比較すべきはジョン・ル・カレのスパイ小説であるという、それならば納得がいった。2022/08/03

まふ

11
ジョン・ル・カレと並ぶ大家のスパイ小説の古典。英国情報機関のエージェントである「わたし」はジェイというスパイによる敵側の英国の科学者誘拐を阻止する。局長のダルビーとともに米国の水爆実験見学に参加するがワナに引っ掛かり敵側に誘拐され暴行を受けるも脱出する。ダルビーがジェイとつながる二重スパイであることを知る。結局は陸軍情報局長ロスにより敵側スパイ一味は逮捕され、わたしはダルビーの後を継ぐ。という話。原爆の構造、原理が分かったり、原爆実験に招待されるなど米英の絆の強さが興味を引いた。G1000、推理1002022/08/12

Schunag

11
高校時代以来の再読。ル・カレと並ぶスパイ小説の巨匠デイトンはチャンドラーをお手本にしてこれを書いたと言われていますが、あらためて読み直すと、物語が動き出す半ば以降、とくに後半3分の1が(『長いお別れ』『プレイバック』以外の)チャンドラーに似ていることがわかりました。動きのすくない前半が少ししんどく思えるかもしれませんが、ここに敷かれた伏線や手がかりが最終的にガンガン回収されていくのが快感。意外な犯人もあればトリック(他愛ないけど)まである本格ミステリの造りでもあり、ミステリ・ファンが読んで損なしです。2016/12/16

八百蔵

5
一読しただけだと、大体の筋しかわからない。最後に、はぁ?というどんでん返しもあり、相当複雑。それ故に多分、納得のいく説明が隅々までなされているのかは、疑問。まぁ現実とはそんなふうなのだが、せめて読んでいる小説世界くらいはスッキリ頭に入ってほしい。微妙。2024/07/17

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