内容説明
片腕の容疑者を追うアーチャーの前には迷宮のような世界が広がっていた。新興勢力たるナチ親衛隊とそれを快く思わないドイツ国防軍、そして両者と交渉して国王奪還を図る抗独グループ。その三者が怪しげな動きを見せていたのだ。どうやら殺人事件の背後にはドイツの新兵器開発計画が絡んでいるらしい。捜査を続けるアーチャーはやがて歴史を揺るがす秘密作戦に捲き込まれていく!本書は占領下の英国のリアルな描写が話題を呼び、同国でベストセラーの上位を何週間も占め続けた。スパイ小説と戦争冒険小説の魅力をあわせ持った巨匠の異色作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
亮人
14
ナチスドイツ占領下のイギリスで、幽閉されている国王・ジョージ6世の奪還を目論むレジスタンスや核開発計画をめぐるドイツ国防軍とゲシュタポの小競り合いなどを、陰謀に巻き込まれるスコットランドヤード警視・アーチャーの視点から描く警察小説スパイ小説戦争小説。歴史の転換といった大局ではなく、ただアーチャーの視点で閉塞的なイギリスを淡々と描く筆致の臨場感は素晴らしい。淡々としすぎて途中やや散漫とした感じもするが、複雑に絡み合う政治的陰謀の果てに見えるラストが衝撃的。2012/11/05
しょうご
1
初読み、レン・デイトン。ヨーロッパ戦線(第二次世界大戦)、ドイツが帝国イギリスを占領下・統治下に治めるというコンセプトのお話。歴史上、ドイツはソビエト制圧に忙しくて、英国までは手が回らなかったが計画はリアルにあったらしい。歴史のボタンを掛け違えていれば、なかった話でもない。本書は、ドイツ内部でも腹の探り合い夥しいが、主人公、ダグラス・アーチャーの人柄、直向きさ加減が周りによい影響を与えている。2017/09/13
三門 優祐
1
イギリスがナチスドイツに降伏した架空の世界を舞台とした、警察小説・スパイ小説・冒険小説。世界の大局についてはそれほど書き込まず、主人公(ロンドン警視庁の若手警視)に近い事件から見せていく形をとる。複数の団体の闘争と、人間の意図とが複雑に絡み合っていく様子を克明に描いた傑作。2010/06/13
マサトク
0
諸々のご都合主義をすっ飛ばしてでも、やはり面白いなあ…本当は、このあとの話と、この前の話を読みたいぐらいだけれど。2016/11/25
はばたくキツネ
0
驚愕の結末。一見そっけないようでいて非常に深みのある人間描写が、種明かしで大きな一種の感動を生んでいる。複雑な政治的意図に踊らされながらも、すべてを決したのは人間の純粋な情念だったというこのなんとも言えない皮肉。政治的抑圧下の中で如何に人間が妥協しあるいは自らの意志を通すか、そしてそれが如何なる悲劇と喜劇を生むのかを描き出した傑作。2012/01/13
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