出版社内容情報
鹿児島から東京へ多くの人と夢を運んだ急行霧島内で、故郷を離れる娘、伝説の車内スリ師、逃げ続ける傷害犯らの人生が交錯する。
内容説明
桜島が私の旅立ちを見守ってくれる―昭和36年、母を亡くして独り美里は、急行霧島で鹿児島から東京へ向かう。生き別れの父が東京で待っている。希望をのせて汽車は走るが、県警の刑事が車内に潜む傷害犯を追っていた。さらに伝説のスリ師も乗っていて大仕事をしようと目論む。急行霧島が進む中、やがて美里の身に危険が!終着点には、いったいなにが待つのか?人々が前を向いて進んだあの時代の人情系鉄道ミステリ。
著者等紹介
山本巧次[ヤマモトコウジ]
1960年、和歌山県生まれ。中央大学法学部卒。2015年、第13回「このミステリーがすごい!」大賞隠し玉となった『大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう』でデビュー。同作はシリーズ化され、人気を博している。2017年刊行の『阪堺電車177号の追憶』(ハヤカワ文庫JA)で第6回大阪ほんま本大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
162
時は昭和36年。母を亡くした美里は、急行霧島で生き別れた父に会うために東京に向かう。東京に向かうはいいが、傷害犯、伝説の摺り師、謎のお嬢様、宝石窃盗グループの一員の一人、当然、刑事、公安も乗っており、てんやわんやの特急霧島。果たして、無事に解決できるのかが、この物語の肝。手に汗握る怒涛の展開。読んでて気になって気になってしょうがない。時代を感じ、義理と人情を思う存分発揮され、ドラマ“はぐれ刑事純情派”を思い出す。久しぶりに映像化されたのを見てみたいと思う物語。2025/08/31
rosetta
35
★★★☆☆昭和36年、鹿児島から東京を26時間半で結ぶ急行霧島。椅子席も寝台もあり、食堂車は朝から夜まで営業。子供の頃こんな列車乗ったなぁというなんか懐かしい世界。戦後がまだ残っていて、母親が死んで顔も知らない父親に会いに東京に行く美里。二等列車で相席になったのはいいとこのお嬢様。車内には鹿児島で暴行を犯した犯人や掏摸の大物、それを追う刑事や鉄道公安官、さらに宝石泥棒まで。盛り沢山の割には淡々と話は進み、というか車内では大した活劇が繰り広げられる訳では無い。何となく昭和ムードに浸っているうちに読了2023/07/21
fuku3
31
2023.8.15読了。時は昭和36年!鹿児島から東京に向かう急行霧島を舞台に傷害犯を追う刑事!大物掏摸を追う鉄道公安官!それぞれの乗客を巻き込んで繰り広げる鉄道ミステリと云うか人情群像劇!ヒロインの上妻美里は未だ見ぬ父親に会いに東京へ!良いとこのお嬢様風の前田靖子は彼に会いに東京へ⁉︎駅で容疑者を張っていた先輩刑事佐伯が霧島に乗り込んだ!付き合わされた鹿児島県警の吉永!大物掏摸の"千恵蔵"が霧島に乗り込むと情報を得た鉄道公安官の貝塚と辻は千恵蔵を張っていたが偽物と気が付いた!昭和の時代にどっぷり浸れる!2023/08/15
みつ
25
東海道新幹線開業前の昭和36年11月、珍しくも鹿児島駅始発(通常は「西」鹿児島駅{現在の鹿児島中央駅)が始発)の急行「霧島」(1・2等座席車、1・2等寝台車、食堂車を併結)の終着東京駅までの26時間半を、父親に会う若い女性を中心に、犯罪者たちと追い手を絡ませて描く。ほぼ同時代を描いた獅子文六の『七時間半』(こちらは当時執筆)は、東京・大阪間を走る当時出現して間もない電車特急が舞台だったのに比べ、こちらはさらに長い列車旅。どこかユーモラスで人情味ある結末を用意しているのは、獅子へのオマージュか。(続く)2026/03/19
遊々亭おさる
24
鹿児島発東京行きの急行霧島には様々な背景を背負う人々が乗り合わせている。生き別れた父親に会うために単身東京に行く女性、犯罪を取り締まる刑事と鉄道公安官、取り締まられる側の傷害犯や伝説のスリ師、それぞれの思惑と人生を乗せて汽車は東京を目指す。昭和36年、敗戦の痛手を乗り越えて希望の未来へと走り行く光と希望が生み出した公害問題という影も汽車は乗せて走る。ちょっとした時刻表トリックもあり、旅情とノスタルジーが味わえる一冊。昭和40年代生まれの自分の思い出にもある長距離列車での一期一会の触れ合いに泣きそうになる。2023/12/12




