出版社内容情報
あたかも罪と罰の概念をもつかのように振る
舞う異星の草食獣シエジーたちの衝撃的な秘
密を描く表題作を含む、宇宙SF中短篇3作
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sin
63
昔はSFのセンスオブワンダーに心を踊らせたが最近は実情報が多いせいか?歳をとって感動の幅を減らしてしまったのか?これはと思える物語が減ったように感じていたが世の中には新たなセンスオブワンダーを産み出す力がある。※想定外の存在に対する最悪のファーストコンタクト※『黒祀の島』で祀り上げられた獣の名を持つ法の獣は快不快を基準とした極端な民主主義※閉じられた系に発生した知性とのコンタクト、握手しようとした手で相手を握り潰してしまう可能性?読み終わった後の震えるような感動に僕の感性はまだ死んでいないのかもしれない。2022/06/02
小太郎
43
積読本。「SFが読みたいで!」見事に一位になったので早速。(ランキングに入らないと読まないのかい!っと自分で突っ込んでます)3篇の中短編、読み終えてなぜもっと早く読まなかったのかと自分を責めました。 どれもが私の好きなファーストコンタクト物、それもこちらの遥か斜め上を行くユニークな設定やワクワクドキドキする展開。魅力的なガジェットや登場人物(生命)、豊富な科学知識に裏打ちされた正しくSFの神髄ともいえる「センスオブワンダー」を感じさせる作品でした。気に入ったのは「主観者」と「方舟は荒野をわたる」★4.52023/02/23
ケンケン
30
(663冊目)好きだな~こういうファーストコンタクトものは! 「主観者」のラストで明るみとなる衝撃的な真実も良かったですが、特に「方舟は荒野をわたる」での徐々に明らかになる異星生物の生態が面白かったです。新たな作品に期待したい作家ですね、これは(^^♪2023/02/19
ふりや
29
最高に面白かった!これは今年のベストになるかもしれない…!「地球人類と異星生物とのコンタクト」をテーマに描いた作品集。SF的アイデアとガジェット、物語の緩急、未知の存在に対する深い洞察や思索など、全方位に隙の無い高いクオリティで最高級のハードSFに仕上がっています。「宇宙における人類や知性の存在意義」をベースに世界観を共有する3つの作品たちは、不穏な幕開けから最後には希望を感じさせるラストでとても気持ち良いです。特に解説でも「ファーストコンタクト史に刻まれる」と絶賛されている『主観者』がとても好き。2022/09/02
よっち
29
あたかも罪と罰の概念をもつかのように振る舞う異星の草食獣シエジーたちの衝撃的な秘密を描く表題作を含む、3つの宇宙SF中短編。近隣の海洋惑星への調査行で集合的精神体を持つルミナスに遭遇した探査チームが直面する衝撃的な悲劇、知性を持たず群れ単位で法を作るシエジーを使った社会実験の結末、生体の迷宮状態「方舟」のカオスな状況が描かれていて、知性を持った生命体とのファーストコンタクトで痛感する人類側の対応の難しさ、それによって何が引き起こされるのか、描写を積み重ねた先にあるそれぞれの結末がとても印象的な物語でした。2022/05/16